おせちに飽きたらカレーをどうぞ

 今年もブック・アサヒ・コムをよろしくお願いします。
そろそろおせちも飽きるころ。正月休みに難しい本にチャレンジしてちょっと疲れたら、
日本のソウルフード「カレー」にまつわる物語はいかがでしょうか?
 あなただけのカレーの思い出が、きっとよみがえるはず。

我、食に本気なり

我、食に本気なり 著者:ねじめ 正一 出版社:小学館

ねじめ少年思い出の味

 東京・高円寺の乾物屋の息子、ねじめ少年小学生時代の思い出の味。かつお節、柿の種、卵、お茶漬け、チャーハン、シュークリーム、みかん、油揚げ。昭和30年代の東京の食文化と、平凡ながら暖かい家庭の食卓がうかがえる。
 カレーライスを「ザ・国民的日本食」と表し、「私は五七年生きてきたが、今までカレーが嫌いという人に会ったことがない」と長年の経験を力説する。南伸坊氏のあたかみのあるイラストのなかでは、エスビー食品のカレー粉赤缶に国会議事堂が描かれているというトリビアが披露されている。
 巻末の両氏の対談で、ねじめ氏のおすすめ店は「東京・阿佐谷のKUMARI」、南氏のおすすめ店は「銀座のカイバル」。

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

マツタケの丸かじり (文春文庫)

マツタケの丸かじり (文春文庫) 著者:東海林 さだお 出版社:文藝春秋

味噌カレーのお味は?

 「週刊朝日」の長寿連載「あれも食いたいこれも食いたい」で、1994年に掲載されたエッセイ。「『カツ牛カレー丼』はあるか」では、カツ丼か牛丼かカレーかの選択に迷った時に、一気に解決できる丼があるという。
 「ありそうでなく、気がつきそうで気がつかなかった味噌カレー……」。「赤、白、八丁、田舎を少しずつ投入した」そのお味とは?。つけ合わせには「塩漬けラッキョウ」。「野趣があって、昔懐かしい味で、ビールに実によく合って、これまた半狂乱になる」と言われると、ついつい作ってみたくなる。

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

おいしい日常 (新潮文庫)

おいしい日常 (新潮文庫) 著者:平松 洋子 出版社:新潮社

やみつきになる香菜カレー

 おいしいごはんのためには、時間も手間も惜しまない筆者が選び抜いた味の数々。食の魅力を伝える表現力とさりげないうんちくが、料理をより引き立たせる。「香菜カレー」はスパイシーな香菜とひき肉とのコラボレーションが、やみつきになる味。巻末に東海林さだお氏との対談も。

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

インドカレー伝

インドカレー伝 著者:リジー・コリンガム、東郷 えりか 出版社:河出書房新社

料理からみた印欧の交流史

(赤井敏夫氏書評より)

 いざインドで本場のカレーを食べようとしたらメニューのどこを探してもカレーの文字が見当たらなかった、というのはインド入門書によくある逸話だ。本書を一読すれば、現地には独自の伝統と名前を持った地方料理があるばかりで、インドを植民地支配したイギリス人が「ソースを使い香辛料を効かせた料理」をカレーと総称し、それらを取捨選択しつつ新たな概念を作りあげたという歴史的背景がはっきり見えてくる……もっと読む

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

デッドエンドの思い出

デッドエンドの思い出 著者:よしもと ばなな 出版社:文藝春秋

心地よい幸せの味

 あとがきで「これまで書いた自分の作品のなかで、いちばん好きです。これがかけたので、小説家になってよかったと思いました」とつづった短編。
 遠距離恋愛中の婚約者の裏切りを知ったときに思い浮かんだのは、福神漬けではなくらっきょうを添えた彼の好物、カレーライスだった。そして「心地よい幸せ」を、あれこれ調味料を足し引きして偶然できた、でも二度とその味が作り出せないカレーに例える。
 料理好きで、小説に食べ物の描写が多い筆者ならでは、ほのぼのする物語だ。

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

シネマ食堂

シネマ食堂 著者:飯島奈美 出版社:朝日新聞出版

『デッドエンドの思い出』の味

 映画や小説に出てくる料理を、フードスタイリストが独自のレシピで紹介する料理本。よしもとばななの『デッドエンドの思い出』に出てくるカレーライスを再現したレシピは、「試行錯誤を繰り返し、私も『この味が出せてよかった』と思える自信作」と納得の一品。

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

夫婦善哉 完全版

夫婦善哉 完全版 著者:織田 作之助 出版社:雄松堂出版

「せんば自由軒」のカレー

 昭和15年に同人誌に発表された古典。主人公の柳吉は商売は長続きせず、うだつが上がらないが、無類の「うまいもん好き」。「戎橋のおぐらや」の昆布、「道頓堀のたこ梅」「法善寺境内正弁丹吾亭」の関東煮など、大阪・ミナミのうまいもん屋が登場し、食のガイドブックとしても楽しめる。
 その柳吉に「自由軒(ここ)のラ、ラ、ライスカレーは御飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」と言わしめた「せんば自由軒」のカレー。現在もインディアンカレーとして人気を集め、関東にも支店を持つ。

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

角川学芸ブックス  名作の食卓  文学に見る食文化

角川学芸ブックス 名作の食卓 文学に見る食文化 著者:大本 泉 出版社:角川学芸出版

西洋料理だったカレー

 樋口一葉の『にごりえ』からよしもとばななの『キッチン』まで日本の小説30編をとりあげ、日本人が好きな食べ物や飲み物を通して、文学作品がどのように読めるかを検証した。
 福沢諭吉が幕末にカレーをいう言葉を日本にひろめたといわれ、明治時代初期に西洋料理としてレシピが伝えられたカレーライス。夏目漱石の『三四郎』では、主人公がフルーツ屋を兼ねるカレー屋「淀見軒」で、カレーライスを食べている。大隈重信が愛し、日露戦争の時代に生まれた料理小説『食道楽』は、いまでいう『美味しんぼ』。ライスカレーは家庭料理の改良と西洋料理が「混化」したものと説明されている。
 

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

カレーソーセージをめぐるレーナの物語 (Modern & Classic)

カレーソーセージをめぐるレーナの物語 (Modern & Classic) 著者:ウーヴェ・ティム、浅井 晶子 出版社:河出書房新社

あるひとりの女性史

(角田光代氏の書評より)

Die Entdeckung der Currywurst
 戦禍の町を舞台に出会いと別れ描く

 北ドイツに、カレーソーセージという食べものがあるらしい。立ち食いの屋台で食べる、庶民の味。このソーセージは、人々のあいだでなんとなくできあがったものではなく、あるひとりの女性の発見したものだと考える「僕」が、かつてハンブルクで屋台を出していた老女、レーナを訪ねるところから、物語ははじまる。「僕」は老人ホームに暮らすレーナのもとに通い詰め、カレーソーセージの誕生秘話を聞き出していく……もっと読む

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

カラー版 インド・カレー紀行 (岩波ジュニア新書)

カラー版 インド・カレー紀行 (岩波ジュニア新書) 著者:辛島 昇、大村 次郷 出版社:岩波書店

カレーでわかるインド文化論

 南アジア地域研究の第一人者が、インド留学中にハマったカレーを切り口に解説するインド文化論。カレーの起源を探りながら、各地の特色ある料理、文化や歴史が紹介されている。「インド文化はその中にたくさんの多様性をかかえながら、それでいて全体としての統一性をもっている」。その「多様性の中の統一」にこそ「私たちがインドから学ぶべき叡智が存在するように思うのである」という。
 アジアをフィールドにする写真家が撮影した写真がふんだんに使われおり、読みやすい。本場仕込みのカレーのレシピは実用的だ。

  • ブックアサヒコム書店
  • アマゾン
  • 楽天
  • 紀伊国屋
  • TSUTAYA

ページトップへ戻る