著作で振り返る吉本隆明の歩み

 戦後日本の思想界に大きな影響を与えた吉本隆明さんが16日、亡くなった。詩人として、批評家として数多くの著作を発表してきた吉本さんの歩みを代表作から振り返る。

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吉本隆明全詩集

吉本隆明全詩集 著者:吉本 隆明 出版社:思潮社

■詩人としての歩みを一覧

 伊藤整が吉本隆明を評して「天才か、さもなくばペテン師だ」と言ったと、ふたりと親交のあった奥野健男(当時、東工大の学生)に聞いたことがある。
 若き才能がきらめく最初期の『固有時との対話』や『転位のための十篇』から、未発表作品まで全作品が収録され、吉本隆明の詩人としての歩みが見えてくる。

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マチウ書試論・転向論 (講談社文芸文庫)

マチウ書試論・転向論 (講談社文芸文庫) 著者:吉本 隆明、月村 敏行 出版社:講談社

■「関係の絶対性」みつめる

 かつて愛国青年だったことを出発点に、自身がとらわれになっていた社会秩序に反逆し乗り越える思想を模索する。「関係の絶対性」という言葉が初めて使われた「マチウ書詩論」はキリストという虚構の人物を造り上げることでユダヤ教世界を超克しようとした古代宗教のドラマを、「転向論」は近代日本の神話、帝国主義に対するコミュニストの抵抗を、それぞれ分析することで戦後世界を凝視する指針を示した。

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改訂新版 共同幻想論 (角川ソフィア文庫)

改訂新版 共同幻想論 (角川ソフィア文庫) 著者:吉本 隆明 出版社:KADOKAWA/角川学芸出版

■「国家とは共同の幻想である」

 吉本隆明の最も知られた代表作の一つで、今も賛否両論がある作品。国家とは共同の幻想であるとし、60年安保挫折後の閉塞状況の中で、その共同幻想と個人幻想の間に「対幻想」という第3の概念を作り、二元論できた近代を突き破ろうとした。

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定本 言語にとって美とはなにか〈1〉 (角川ソフィア文庫)

定本 言語にとって美とはなにか〈1〉 (角川ソフィア文庫) 著者:吉本 隆明 出版社:角川書店

■文化論のメルクマール

 「文学は言語でつくった芸術」を考察の出発地点とし、記紀万葉や現代詩歌、森鷗外や夏目漱石、石川淳や島尾敏雄らの小説を題材にし、「自己表出」と「指示表出」という二つの概念を用いて、人間が文学を成立させる言語表現の構造と特質を独自に探究した難解な理論書のひとつ。1965年に出版され、文学や芸術を論ずるうえで、また著者のその後の作品を理解するうえでも必読の書。

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対幻想「平成版」

対幻想「平成版」 著者:吉本 隆明、芹沢 俊介 出版社:春秋社

■「対幻想」とは何か?

 「対幻想」とは吉本思想のキーコンセプトの一つで、人間どうしが一対一で向き合ったときの関係性のことである。「共同幻想」「自己幻想」と並んで重要なこの概念を、吉本隆明の弟子的存在である芹沢俊介と探究した対談集。

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ハイ・イメージ論〈1〉 (ちくま学芸文庫)

ハイ・イメージ論〈1〉 (ちくま学芸文庫) 著者:吉本 隆明 出版社:筑摩書房

■ポストモダンの先へ

 高度化するテクノロジーとグローバル化する資本主義により、急速に姿を変えつつある「現在」を、「イメージ」を軸に読み解く。<世界視線>という新たな鍵概念を武器に、吉本思想の新地平を開いた評論集。

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吉本隆明 全マンガ論―表現としてのマンガ・アニメ

吉本隆明 全マンガ論―表現としてのマンガ・アニメ 著者:吉本 隆明 出版社:小学館クリエイティブ

■ポップ・カルチャー批評家としての顔

 鶴見俊輔と並んで、ポップ・カルチャー批評家としても重要な著作を残している吉本隆明。本書はその中からコミック論を集めたもの。手塚治虫論、松本零士論などみどころたっぷり。

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吉本隆明×吉本ばなな

吉本隆明×吉本ばなな 著者:吉本 隆明、吉本 ばなな 出版社:ロッキングオン

■娘に対する批評家の目

 思想家の父と作家の次女(現在の筆名はよしもとばなな)による、最初で最後の対談集。社会からちょっとずれている娘を見守る父の視線がほほえましい。娘の作品に対する批評など、他では聞けない貴重なテーマもふんだんに盛り込まれている。

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吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜 (Hobonichi books)

吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜 (Hobonichi books) 著者:吉本 隆明、糸井 重里 出版社:東京糸井重里事務所

■声で聞く吉本思想

 吉本隆明の講演をコピーライター糸井重里が編集構成したCDブック。60~90年代に録音された講演約180回から22回分を選び、74分にまとめている。文芸から政治経済、科学、宗教、都市論まで、多くのファンを集めた話術を堪能できる。読むより、分かりやすいといわれ入門編にぴったり。

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