書店員の知恵が詰まったフェア 三省堂書店有楽町店

2017年04月26日

三省堂書店有楽町店のフェア

三省堂書店有楽町店のフェア

三省堂書店有楽町店のフェア

■三省堂書店有楽町店店長 牧野優さん
 書店では、大小様々なフェアを開催している。
 棚1段で数点のこじんまりしたミニフェアから、催事スペースなどを使って数百点を揃えた大規模なものまで色々なパターンがある。
 有楽町店でも、いつも店内の数か所でフェアを展開している。現在は2階特設会場で「昭和の事件簿」と銘打った、戦後の“昭和”時代の風俗・事件・事故に関する書籍を集めた大きなフェアを開催中である。
 大きな催事スペースがある店舗でも、年間のスケジュールは結構詰まっており、カレンダーや手帳、定番になっている夏の文庫、学生の多いお店では春の辞書やガイドなど盛り沢山だ。ただ、書店に足を運ぶお客様は好奇心旺盛な方が多い。毎年同じようなフェアで回していても、すぐに飽きられてしまう。だから、何とかスペースを捻出して色々なフェアを開催してみる。テーマは、時事問題やその時に流行っている本や著者に絡めたもの、これから話題になるであろうキーワードを中心にまとめたものなど様々だ。
 書店で開催しているフェアには、出版社が企画した自社商品フェアと書店員が企画した書店独自フェアがある。独自フェア商品の選定は、書店員の仕事の中でも特に面白いもののうちの一つだ、と自分では思っている。入荷したダンボールを開梱していて、自分で発注したフェア商品が出てくると嬉しい。
 通常、書店の棚づくりの仕事はかなりの裁量が認められているが、フェアに関してはテーマの決定から書籍の選定まで自由度がさらに大きい。もちろん、有限である店内のスペースを使うので、ある程度の結果を出す必要はある。
 自分が入社した十数年前は、フェア商品の選定といえば、各出版社の目録や書籍の参考文献を調べる、自店や他店で棚に並んでいる書籍を参考にする、自社の書籍検索システムで調べる、先輩社員や出版社の担当から色々と教えてもらう、などの各種方法と後は自分の知識頼みだった。
 今は、ネットに情報が溢れており調べる足掛かりには困らなくなったし、何よりamazonの検索と「この商品を買った人は~」のおすすめ表示は非常に役に立つ。しかし、このamazonのレコメンドシステムが万能かというと、フェアで並べる商品の選定に限って言えばノーだ。自分の知らなかった「なるほど」という書籍が出てくることも多いが、この機能に頼りきって選書すると、何故かイマイチな品揃えになってしまう。
 例えば、前出の「昭和の事件簿」フェアだと、タイトルに「昭和」や「事件」が入っている書籍ばかりを集めても面白くない。おすすめ表示を辿っていくと、ある程度の書籍は拾えるがそれだけでは深みが無い。何より、ネットの普及によってこの「あるテーマについてどんな本が出ているのか」が一般の方でも簡単に調べることが出来るようになってしまった。
 ただ、リアル書店の強みは実際にそこに本が並んでいるというところにある。フェアに関してはもちろんだが通常の棚についても、沢山ある書籍の中から何をチョイスするのか、どういった順番で並べるのか、どれとどれを隣同士にするのか、どんなPOPを付けるのか、などで色々なことを表現することが出来る。
 今度書店に行ったら、そのお店でどんなフェアをやっているのか是非注目して見てみて欲しい。きっと担当者の知恵と工夫が沢山詰まっていることに気付くと思う。


     

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