創業百年超 本との出会いを演出 有隣堂伊勢佐木町本店

2017年05月30日

有隣堂伊勢佐木町本店の飯沼清隆店長

有隣堂伊勢佐木町本店

有隣堂伊勢佐木町本店のYMBC医学書センター

有隣堂伊勢佐木町本店の店内

■昭和レトロの香り漂う店舗

 有隣堂伊勢佐木町本店(以下、本店)は、わくわくする本との出会いを演出してくれる書店だ。
 伊勢佐木町の商店街に入ってすぐの場所にある本店は、神奈川県を中心に首都圏で展開する有隣堂の旗艦店だ。有隣堂の創業100年を越える歴史は、ここから始まっている。
 本店の建物ができたのは、昭和31年(1956)。当時、地下1階、地上4階(その後、5階を増床)の規模を持つ書店は珍しく、全国から書店経営者が見学に訪れたという。
 昭和レトロの香り漂う店舗に入ると、1階から中2階に続く吹き抜けが心地よい。かつてニューヨーク5番街にあった老舗の「スクリブナー書店」を参考に設計されたというのも、うなずけるしゃれた造りだ。
 「以前は地下にレストランもありました。その頃、横浜近辺のご家族にとって伊勢佐木町は、一番の繁華街。有隣堂で本や文房具を買い、レストランで食事をするというのが、週末の楽しみだったそうです。今も店頭にある花屋さんで花を買い、本と一緒にプレゼントできるようにしたのも、先代社長のアイデアでした」
 伊勢佐木町本店店長の飯沼清隆さんは、横浜の書店らしく、流行を先取りしてきた有隣堂の歴史を教えてくれた。
 今でも本店は、ハマッ子にとって足繁く通いたい書店の一つだ。「ここでなければ」と長年、通ってくる常連客も多い。
「他では見つからない本も、本店なら手に入るだろうと問い合わせてくるお客様は少なくありません。サービスコーナーをベテランの店員に任せているのも、多種多様なお問い合わせが寄せられるからです」
 客層を反映してか、店頭で目立つのは、『何がめでたい』(佐藤愛子著・小学館)や『60歳からの手ぶら人生』(弘兼憲史著・海流社)など、中高年を意識した品揃えだ。
「お客様の6割は男性なので、ビジネス書もよく出ます。営業の心得やマナーを教えるようなノウハウものより、経営者の語録や経営理論、人生訓のほうが売れていますね」
 今、仕掛けているのは、脳のトレーニングにも役立つ『川畑式 頭リハビリパズル イージーキューブ』(川畑智監修・世界文化社)だ。実用書棚の担当者が「面白い」と積極的に展開している。

■医学書・文具にも注力

 5階にある「YMBC医学書センター」も力を入れているコーナーだ。医学書は高価なものも多いため、実際に見てから買いたいというニーズに応えている。
 本店のもう一つの特徴は、3階と4階が文具フロアーになっていることだ。オフィス用品や学童向けの文房具から画材、書道用具まで、専門の文具店や画材店に匹敵するアイテムが揃っている。
 有隣堂が文房具に強いのは、創業以来、書籍と文具を一緒に扱ってきた歴史があるからだ。その後も楽器や楽譜を扱ったり、カルチャーセンターを運営したり、OA機器やオフィス・インテリアを手がけたりと、書店の枠を越えたビジネスも積極的に展開している。  
 有隣堂は、どの店舗も足を踏み入れると、不思議と軽やかで明るい雰囲気を感じる。その理由は、横浜開港の地でもある伊勢佐木町の進歩的な気質が息づいているからなのだろう。(角田奈穂子)

有隣堂伊勢佐木町本店
神奈川県横浜市中区伊勢佐木町1-4-1

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