インスタ映えする書店!? 三省堂書店有楽町店

2017年08月30日

三省堂書店有楽町店の店内販促の例

三省堂書店有楽町店の店内販促の例

三省堂書店有楽町店の店内販促の例

三省堂書店有楽町店の店内販促の例

三省堂書店有楽町店の店内販促の例

三省堂書店有楽町店の店内販促の例

三省堂書店有楽町店の店内販促の例

■三省堂書店有楽町店店長 牧野優さん

 このところ、世の中“インスタ映え”が話題である。SNSのインスタグラムなどには、写真映えして目に止まるようないわゆる“フォトジェニック”な画像が溢れている。
 飲食店で料理をひたすらスマホで撮影している人は良く見かけるし、新しい商業施設や新スポットでは一般の方が撮影している光景は当たり前になってきた。他の人や店舗に迷惑をかけているような人は論外だが、個人が様々なことを簡単に発信出来るようになった現在では撮影や発信を規制することは難しいし現実的でない。

 なぜ突然こんな話を始めたかというと、書店店頭の写真撮影について最近いろいろと考えていたからである。上記のように個人的に発信する人が増えているので、(言い方は悪いが)それを販促に利用しようという店舗は多い。『どんどん撮って、どんどん発信・拡散して下さい』というようなことを積極的に謳っていることは珍しく無くなった。以前なら絶対撮影禁止であったような商業施設や文具・雑貨店でも同様である。

■「店内撮影禁止」の是非

 それに対して書店はというと、当然のようにほとんどの店舗で「店内は撮影禁止」であるし、そのような意味の文言が掲示されている。管理者側から見ると、個人で撮影・発信されてしまうと、他のお客様の映り込みや本の表紙や店内の様々な販促物などの著作権などの問題、テナントとして入っていればデベロッパーのルールとの兼ね合いなどクリアすることが簡単でない問題が山積しているため、とても野放しには出来ないということはある。

 書店ならではの理由もある。本の内容を撮っている人との区別が出来ないのである。店頭にいると、中のページをパシャパシャ撮影している人に出くわすことは頻繁にある。大体の人は店員を見かけると止めて出て行ってしまうが、全く気にしない人には注意することになる。ただ注意すると「1ページ撮りたいだけなのに」という感じでトラブルになることは多いが…

 その他にも店内を撮影禁止にするのは、これはネガティブなイメージが強くなるのであまり言われないが、万引きや盗撮などの犯罪行為の抑止の意味合いもある。書店は老若男女問わず様々な方がご来店される空間なので、安全を保障するのは店舗の当然の義務であるからである。

■発信したい題材はたくさん

 ちょっと話が逸れてしまったが、現状でいきなり「撮影許可」とはいかないことは十分承知の上で言うと、書店の店頭は撮って“発信したい”(若しくは“してほしい”)題材に溢れているのである。

 有楽町店でもツイッターなどは大いに活用しており、日々いろいろな発信をしているし、それを見ている人も多い。面白くて紹介したい本は沢山あるし、従業員が作った素晴らしいPOPや販促物も来店された方のみでなくもっと沢山の人に見て欲しいと思うのだが、いかんせん時間が無い。店舗はやはり目の前のお客様の対応をしなければいけないので、外部への発信はどうしても後回しになりがち。

 ただ、考えてみると、東京の有楽町にある当店に頻繁に立ち寄ることが出来る環境にある人はごく少数で、世の中の大半の人はそもそも三省堂書店有楽町店の存在を知らないだろうし、知っていたとしても年に数回しか行かない(行けない)状況の方が圧倒的多数だと思う。そういった方にも情報を届けたり、ネット書店には無いリアル書店の魅力をアピールしたりするツールとしてはSNSは便利だしもっと活用する必要がある。ということが頭では分かっているけど、限られた人員で運営しているリアル店舗ではすぐに売上に結びつかない「発信」はやはり後回しになっていってしまう。

 話題書の大展開やタワー積みなどのそれこそフォトジェニックな題材以外にも、「なるほど」とか「これとこれを並べるか!」「やられたっ!」というような展開はそこかしこにある。そんな店内各所でひっそりと行われているいろいろなことをそれに気付いたお客様が拡散してくれたら、お店としてはありがたい話である。そこで、ある程度のルールを決めて店頭での撮影・発信をOKにしてしまうというのは販促の戦略としては検討の余地はあると個人的には思う。ただそれは、店舗責任者としての意見ではなく、もちろん三省堂書店としての見解でもなく、一書店人としての無責任な「こうすれば面白いんじゃない!」というアイデアである。

 海外の書店などでは、ビックリするような店内装飾や書架など日本ではお目にかかれないような思い切った販促を行っている例もあり、これらはインスタ映えを考慮しているかどうかはともかく(恐らくそうじゃないと思うが)、写真に撮ろうなんて全然思わないような無機質な棚が並んでいることが多い日本の書店は見習うべきところも多い。

 書籍販売においてはネットの利便性や販売力にリアル店舗が徐々に客を奪われていることは確かであり、関係者が集まればいかにネットに対抗するかというような話題が多い昨今、そのネットと同じ土俵に上がる&ネットの発信力の更なる利用をもっと真剣に考えていかなければならないと思う。その最初の一歩として、現時点では相当にハードルが高いが店内での書籍展開風景の撮影とその写真のSNSでの利用についてもっとポジティブに、店舗のイメージも売上もプラスになるような方向で考えていけたら良いなと思う。

 ※三省堂書店では許可無く店内で撮影することは禁止されています。

世界の夢の本屋さん

著者:清水玲奈、大原ケイ、エクスナレッジ
出版社:エクスナレッジ

表紙画像

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