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漫画、金沢で描き続ける理由は?坂田靖子さん

[掲載]2013年02月04日

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坂田靖子さん本人に自画像を描いてもらいました

表紙画像 著者:坂田靖子  出版社:白泉社 価格:¥ 611

 少女漫画は今も昔も女の子たちのバイブル。大人になってもそばに置いておきたいもの。シンプルな筆遣いでファンタジー、ミステリー、コメディーなど幅広い作風の坂田靖子さん(59)は金沢に住み、作品を発表し続けている。
    ◇
 ――なぜ、漫画家になったのですか?
 子どものころから漫画がとても好きでした。「りぼん」もずっと読んでました。絵を描くのも好きで、中学生のころには「漫画家になれたら」と思っていました。雑誌に投稿を続けましたが、相手にされなかった。でもあるとき、私の原稿を見たコミックの編集長が漫画スクールで2番目の賞をくれました。それが掲載されて読者の反応が良かったそうで、「俺にはわからんが、みんなが面白いというのだから、描いてみろ」と言ってくれました。
 ――イギリスが舞台の作品も多数ありますね?
 「メアリー・ポピンズ」や「シャーロック・ホームズ」「マイ・フェア・レディー」など、イギリスが舞台の小説が好き。小説を通して見るイギリスの生活感が、金沢と重なっているように感じるからかもしれません。大都会がすべてではないという考え方、小さいけど文化都市で楽しく生きていける場所、という共通点があるように思います。
 ――金沢で漫画を描き続けるのはどうしてですか?
 知り合いの漫画家の中には、デビュー後に東京へ移り住んだ人もいます。でも、金沢市は住みやすいし仕事もしやすいので、そのまま居ついてしまいました。締め切りの日までに原稿を郵送などで出版社に届けられればいいし、やりとりも電話でできるので、ここで仕事を続けています。
 ――仕事がしやすいとは?
 私の場合、作品のアイデアのきっかけになるのは自然や天気。金沢は雲の様子が変化に富み、夜の星空や冬の雪景色もとても美しい。大阪に生まれた私は雪にとても憧れていたので、雪かきは面倒でも白い景色を見るとうっとりします。特に夜の雪景色は青くみえて大好きです。食べ物もおいしいし、こうした充実感が創作意欲をかき立てるのです。知り合いを訪ねて東京に1週間ほど滞在したことがあります。昼間に空を見上げると、天気に変化のない空は白っぽく見えました。夜も星はよく見えません。私にとっては、そんな都会の様子は「情報不足」なのかもしれません。
 ――漫画を38年間描いてきて、伝えたいテーマはなんですか?
 そんなに大げさに考えたことはありません。テーマは最初に設定せず、浮かんだものをそのまま描いてます。金沢の自然に触れていると、自然に浮かんできます。だから、常にその「雰囲気」を感じていることがとても重要なのです。作品の中にはせりふがなく、見開きでページいっぱいに夜空や景色を描くことがよくあります。空の高さや空間、香り、作品の世界観を感じてもらえれば。(聞き手・大野晴香)
    ◇
 さかた・やすこ 59歳 1953年、大阪府高槻市生まれ。小学校3年生の時に家族で金沢市に移り住んだ。75年、「再婚狂騒曲」(白泉社「花と夢」掲載)でデビュー。「バジル氏の優雅な生活」「マーガレットとご主人の底抜け珍道中」など代表作多数。

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