「創造力」持って憲法考える 木村草太さん

2013年06月12日

木村草太さん

■首都大学東京准教授 木村草太さん(32)

 憲法改正の議論は、時に熱を帯びる。だが、条文をじっくり読み、その意味を考えたことは意外に少ないのでは? 首都大学東京准教授、木村草太(32)の『憲法の創造力』(NHK出版新書)は、憲法論議の「熱」ゆえに陥りがちな思い込みから自由にしてくれる。
 「一票の格差」「裁判員制度」「君が代問題」「憲法9条」……。取り上げられた話題は幅広い。例えば、学校の式典で君が代の起立斉唱を求められた教職員が、拒否して処分されたケース。処分を「憲法違反だ」と批判する側は、憲法19条の「思想・良心の自由」を持ち出すが、最高裁は「教育の目的にかなっていて適法」としてきた。だが、思想を理由に教職員が嫌がらせを受ける「パワハラ」の問題と考えれば、差別を排する憲法14条の問題と考えられる。「こうした創造力が、憲法を創っていくということなんです。とにかく変える、あるいはその逆も意味がない」
 「最高裁判所は国民をナメているのか?」なんて「刺激的な」言葉も飛び出すが、説明スタイルは、具体的な判例と、結論を導き出した論理を詳細に説明したうえで批判し、持論を展開していく具体性を重んじたものだ。「学生時代に『世界のすべてが映り込んだ朝露の一滴のような論文を書きなさい』と言われました。実は憲法の理解もそう。具体的な問題を徹底的に細かく考えた方が、憲法の全体が見えてくる」
 憲法との出会いは、中学時代だ。学校の文化祭や体育祭に「参加したくない」と考えている自分が、なぜ参加しなければならないのかに疑問を持った。先生に聞いても、「価値があるから」と答えるだけ。
 一方、憲法には「価値は、個人が選ぶ」と書かれていた。「公共の価値と個人の権利のバランスはそれ以来、自分のテーマです」
 趣味は将棋。著書の一つ『憲法の急所』のタイトルは、森内俊之名人の定跡書『矢倉の急所』などからとった。「何手先も読まないといけないのは、裁判での反論や裁判所の考えを読む必要のある法律学も同じ。将棋の思考法は、法律学にも生かせると、最近、考えています」

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