「二流小説家」デイビッド・ゴードンの新作発売に

2013年07月09日

作家のデイビッド・ゴードンさん

 「このミステリーがすごい!2012年版」(宝島社)の海外編1位など、ミステリー海外部門で三冠を達成した『二流小説家』(早川書房)の著者デイビッド・ゴードンが来日した。着想から約10年かけて書いたデビュー作は、本好きにはたまらないアイデアが詰まった作品だ。
 ゴーストライターやポルノ雑誌のライターをしながら小説を書いている主人公の作家ハリーにある日、収監されている連続殺人犯から手紙が届く。自供すらしない犯人が、事件の告白本の執筆を依頼してきたのだ。依頼をきっかけにハリーは事件に巻き込まれていく。
 猟奇的な描写も登場するが、どんでん返しの結末はもちろん、ハリーが口にする自虐的なユーモア、恋愛模様なども楽しめる盛りだくさんのミステリー小説だ。
 ゴードンも、雑誌に小説を送りながら、ビジネスマンや科学者などのゴーストライターや、ポルノ雑誌の編集者をしていたという。「ある意味、ハリーは僕に似ているかもしれない」と話す。
 本作のアイデアが浮かんだのも、ポルノ雑誌の編集者だった時だ。編集者には刑務所の収監者から、法律相談など、さまざまな手紙が届く。「もし、この手紙が有名な犯罪者からの手紙だったら……」と想像したことがきっかけになったという。
 「小説とは、冒険の旅へといざなう翼」「その独特な修辞法や象徴的表現の点において、ジャンル小説は神話に似ている」など、ゴードンの小説論が随所にちりばめられているのも本作の魅力だ。「芸術論や小説論もストーリーと同じように重要なものとして入れた」と話す。
 日本で映画化され、現在公開中。2作目の『ミステリガール』(早川書房)も先月、日本で刊行された。谷崎潤一郎や川端康成が好きだったといい、「日本の本を好んで読んできたが、逆に日本で自分の本が読まれているのは不思議な感じがする」。

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