まだまだ広がるAnotherワールド 綾辻行人が新刊

2013年09月25日

新刊を発表したミステリー作家の綾辻行人=京都市中京区、伊藤菜々子撮影

 作家の綾辻行人が、映画やTVアニメにもなった学園ホラー『Another(アナザー)』の続編、『Another エピソードS』(角川書店)を出した。本格ミステリーの名手らしい驚きを仕込んだ、異色のゴースト・ストーリーだ。
 夜見山(よみやま)という町の中学校に、ある条件が満たされると必ず降りかかる連続死。2009年に出た前作は、その「夜見山現象」に立ち向かう男女の中学生の姿をみずみずしく描いて人気を集めた。今作「エピソードS」は、前作のヒロインと、かつて「夜見山現象」を経験した男性をめぐる物語だ。
 はらはら読ませる前作とはひと味違う、しっとり切ない語り口だが、しっとりだけでは終わらないのが綾辻作品。どんでん返しが待っている。
 「謎と解決という構造がないと、どうもモチベーションが高まらなくて。驚きを届けたいという気持ちがしみこんでいるんでしょうね」
 当初は続編というより、前作の軽いスピンオフのような位置づけだったという。「夜見山現象はまだ終わっていないという意識がある。夜見山のその後を描く『本編2』のようなものや、別のエピソード何とかという作品をいずれ書きたい」。「Another」の世界は、まだまだ広がりそうだ。
 推理小説界に「新本格」と呼ばれる潮流を呼び込んだ『十角館の殺人』でデビュー。20代のまとめとして『霧越邸殺人事件』、30代の集大成として『暗黒館の殺人』を書いたと話す。
 「Anotherは40代の代表作のようになった。長年の読者だけでなく、10代や20代の読者にも届いたという実感がある。作家として幸せなことです」

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