旅の感情 心地よいリズムで 詩集出版

2013年12月10日

7年ぶりに詩集を出した詩人で書肆侃侃房代表の田島安江さん=福岡市中央区の書肆侃侃房

 「遠いサバンナ」。どこかワクワクした雰囲気を持つこのフレーズは、福岡市の出版社「書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)」代表で、詩人の田島安江さんが出した詩集のタイトルだ。旅の高揚感や安堵(あんど)感がにじむ詩が、心地よいリズムでつづられている。
 自身の詩集としては7年ぶり5冊目。二つの詩誌に所属しており、つくった詩が数多くたまった。そこで「気持ちよいぐらい捨てた。すると、旅をしたときの詩を中心に、愛着のあるものだけがあつまり、なんとか形が見えてきた」(あとがき)のだという。
 ゾウガメにクジラ、ラクダ……。詩集には多くの生き物が登場する。田島さんは自然あふれる大分・国東半島の出身。家で鶏やうさぎを飼い、川に入っては魚を捕まえるのが日常だった。生き物は仲間と思えるような環境で育ち、「無意識に、自分のことのように書いてしまうんでしょう」と笑う。
 表題作をはじめ、旅を想起させる作品が多いのは、田島さんの旅好きから来ているのだろう。例えば、「山羊(やぎ)を売る男」はチリ、「赤い布」はインド、というように、世界中を旅した際に思い浮かんだ1行を手がかりに創作する。
 収録作の「ラクダの涙」は昨秋、モンゴルであった世界詩人祭に参加した際に感じた空気をくるんである。このイベントで田島さんは村々を回りながら、表題作「遠いサバンナ」を朗読した。「草原の話なので、草原の多いモンゴルの人々の心に響くものがあったのでは。詩に年齢も国も関係ありませんね」。
 後半の「鶏景」や「父の箱」などを読むと、故郷や家族を尊ぶ作者の温かな人柄が浮かびあがってくる。
 詩集は全23編。

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