被災地の子どもたちの心に寄り添う 真山仁、連作短編集

2014年03月18日

阪神大震災当時の様子を振り返る作家の真山仁さん=神戸市中央区の東遊園地、諫山卓弥撮影

 過酷な企業買収の世界を描いた『ハゲタカ』などで知られる作家、真山仁(51)が、東日本大震災の被災地を舞台にした連作短編集を出した。「阪神大震災を経験した自分だからこそ、今書かなければいけないと思った」という。
 『そして、星の輝く夜がくる』(講談社)は、神戸から東北に派遣された男性教師が主人公。校庭の隣にがれきの山が残る小学校に赴任した関西弁の教師が、同僚や親たちと衝突しながら子どもたちと向き合っていく。
 真山は大阪府出身。阪神大震災の時、神戸でフリーライターをしながら小説家を目指していた。市内の自宅マンションは大きな被害を免れ、実家に身を寄せて仕事を続けた。
 2004年にデビューしたが、震災を書かなければという思いと、どう書くべきかという迷いが常にあった。そして11年の東日本大震災。「震災を知る作家に書いてほしい」。出版社から打診され覚悟を決めた。
 岩手や宮城の沿岸を数カ月に1回のペースで繰り返し訪れ、定点観測のように被災地を見つめた。「町に漂い続ける空虚さと、子どもたちの明るさのギャップが気になった。大人がだめな時、子どもたちは頑張りすぎて吐き出せずにつらい思いをする。阪神の時もそうだった」。だから、これまでほとんど書いてこなかった子どもを物語の中心に置いた。
 「伝えたいのは、子どもたちにはこれから長い人生がある、前を向いて未来へ進もうということ」。そんな思いを、タイトルの「星の輝く夜」という言葉にこめた。「被災地の夜は暗くて、心細い。でも失ったものばかりじゃない、見えてくるものもある。そう伝えたかった」

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