料理が持つ「幸せにする力」 作家・藤野恵美さん

2014年07月22日

「男の人の物語。ぜひ男性にも手に取って欲しい」=大阪市北区、遠藤真梨撮影

 ■藤野恵美(めぐみ)さん(36歳)

 心のこもった料理には、人を前向きにし、幸せにする力がある。児童文学を中心に活躍してきた作家、藤野恵美(めぐみ)が大人向けに描いた小説の2作目、「初恋料理教室」(ポプラ社)からは、そんなメッセージが伝わってくる。

 物語の舞台は、京都の細い路地にある町家。出汁(だし)のにおい漂う「男子限定」の料理教室に通う生徒たちが、習う料理を通じて自らを見つめ直したり、トラブルを解決したりする連作短編集だ。

 作家になる前、雑誌やフリーペーパーのライターとしてグルメ関係の記事を5、6年書いていたため、「得意分野で勝負しました」。子どもの頃から好きな場所という京都の町を歩き、イメージ通りの町家にある料理教室を探し当てた。実際に生徒になり、作品の構想を練ったという。

 建築家の卵にフランス人パティシエ、女装をした大学生、彫金職人――。年齢も職業もバラバラの生徒4人が料理教室に通うことになった理由を解き明かしながら、物語は進んでいく。四季ごとに主人公を変えることで、作品にちりばめられた料理に季節感を持たせただけでなく、それぞれの登場人物のその後も描いた。

 初恋の女性へのほのかな思いや、家族への愛情など、登場する料理はつくる相手への思いやりに満ちている。「いろんな本があっていいと思うけど、せっかくなら読んだ人が明るい気持ちになるものを書きたい」(渡義人)

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