アマゾン電子書籍、40社と配信合意 学研・PHPなど

2012年04月17日

電子書籍、群雄割拠の時代に

 出版大手の学研ホールディングスと、主婦の友社、PHP研究所など複数の中堅出版社が、インターネット通販最大手のアマゾンと電子書籍サービス「キンドル」日本版の配信契約で合意した。3社より小規模な出版社を含めると合意は40社以上に上る模様だ。キンドルを巡って大手・中堅出版社の契約合意が明らかになったのは初めて。
 紙の本の販売で国内大手書店と一、二を争い、電子書籍でも欧米で実績を持つアマゾンは、日本の電子書籍市場の最重要プレーヤーになるとして本命視する見方が業界内には根強い。キンドル日本版の開始時期について、アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は先週、「年内に発表する」と語った。
 学研は昨年、アマゾンの紙の本の年間売り上げランキング5位。自社の電子書籍を販売するサイトを運営し、紙と電子の同時発売にも積極的で、約千点の電子書籍データを保有する。主婦の友社は早くから電子雑誌に取り組んでおり、PHPはビジネス書が中心。
 アマゾンは昨年春から日本の各出版社に契約書のひな型を提示、交渉を続けてきた。しかし「販売価格の決定権はアマゾン側が握る」「著者や出版社、アマゾン間の契約解除後も配信を続ける」などの内容に日本側が反発。従来の業界の慣習と欧米でのビジネススタイルとの間で意見が対立し、交渉は難航していた。
 しかし昨年11月以降、アマゾンが契約条項の修正に応じ始めたことで状況が変化した。無期限配信など複数の条項について、「当初書かれていた条項がごっそりなくなった」(大手)、「ほぼ満額回答してくれた」(中堅)。逆に、日本側も譲歩。アマゾンが価格決定権を握ることに同意する社も出始めた。「グダグダやっていると、アマゾンが日本を見捨てるのではという危機感があった」(中堅)からだ。
 アマゾンは複数の出版関連企業に電子書籍の取り次ぎ(流通)業務を委託。小規模出版社に対して働きかけを強め、コンテンツ集めを加速させている。今後は契約に前向きな角川グループホールディングスも含め、他の大手に契約の動きが広がるかが焦点になる。
 日本の電子書籍の市場規模は2010年度で650億円。15年度には2千億円になると予測される(インプレスR&D調べ)。ネット通販のライバル、楽天も、買収したカナダ企業Kobo(コボ)社の端末を販売する形で本格参入の準備を進めている。今後ライバル社同士が激突する中で、市場の成長が加速しそうだ。(竹端直樹、山田優)

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