書き出しだけで本を選ぶ 紀伊国屋の文庫フェア、盛況

2012年08月22日

「ほんのまくら」フェアの文庫本。出だしの文がブックカバーにデザインされている=10日午後、紀伊国屋書店・新宿本店、吉本美奈子撮影

出だしの文がデザインされたブックカバーを見て本を選ぶ客=10日、紀伊国屋書店・新宿本店、吉本美奈子撮影

 ヒントは、ブックカバーに明朝体で印刷された本文の書き出しだけ。題名も作者名もわからない文庫本を100種類ならべたブックフェアが、予想外の反響を呼んでいる。ネットで話題になり、スマートフォンを手にした若者らが次々に来店。1日に約700冊売れる日もある。
 「ああ、これだね、ここだったね。」「私は頬を打たれた。」――。東京・紀伊国屋書店新宿本店で開かれている「ほんのまくら」フェア。白いカバーに刷られた冒頭の一節が、目に飛び込んでくる。ラッピングされていて立ち読みはできない。買って開いて初めて題名と作者が分かる。
 同店仕入課の伊藤稔さん(32)の提案。書店員6人が好きな書き出しの国内外の小説を18社の出版社から100タイトル選び、ブックカバーをデザインしてもらった。価格は340~840円。
 フェアは7月26日に始まった。8月に入り、ネットのニュースやツイッターで「本の闇鍋状態」「音楽でいうとイントロだけで買うような」などと話題になり、売り上げが急増した。購買層は20~30代の男女が中心だ。
 同店は最初1500冊を用意。今月8日に300冊を追加したが、10日朝に棚に残っていたのは4種22冊のみ。夕方に200冊を補充すると、棚の前には二重に人垣ができた。
 ツイッターで知って来店したという女性会社員(28)は、好きな「旅」という単語が含まれる本など2冊を購入。「こんな選び方は初めて。品切れが少なければもっと買ったはず」
 今も、土日に500~600冊、平日にも350冊が売れている。伊藤さんは「人気作家の新刊なら売れ行きの予想もつくが、多くの種類を集めるフェアがこんなに売れるのは想像を超えた」。フェアは25日までの予定だったが、来月16日まで延長された。
 これまでに一番売れたのは「あした世界が終わる日に 一緒に過ごす人がいない」で始まる詩集という。(吉本美奈子)

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