星新一の新作、コンピューターが作ります

2012年09月08日

顧問として協力する瀬名秀明・日本SF作家クラブ会長(左)と松原仁・はこだて未来大教授

 はこだて未来大学の松原仁教授(人工知能)らが「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」を開始する。星新一(1926~1997)さんの1千点を超すショートショートを分析し、星さんの新作と言えるような作品をコンピューターで自動生成することを目標としている。
 星さんのショートショート作品を取り上げたのは、作品数が多く分析しやすいことと、プロットがわかりやすく、作品の個性が際だっていることなどが理由だという。使われている単語、文章の長さ、句読点の数、同一単語間の距離などを分析することで、星ショートショートに共通する特徴をとらえる。その後、物語を構成する要素の組み合わせをずらすなど、さまざまな創作法を試し、ショートショート創作法として完成させるという。
 コンピューターによる芸術作品の創作は、絵画、音楽、パズル、詰め将棋、詩、俳句、和歌などでは一定の成果をあげているが、小説ではほとんど進んでいない。
 松原教授は「5年以内にショートショートの公募に匿名で応募して入賞することを目指します。人工知能が理性だけでなく感性も扱えるようになれば、人間にとってコンピューターはもっと自然な存在になるはずです」と話す。
 現状の見通しでは、質を問わなければショートショートの自動生成は可能だが、どれがすぐれた作品であるかという評価が難しいという。
 作家の瀬名秀明・日本SF作家クラブ会長が小説の評価方法の検討も含めプロジェクトに顧問として協力する。「芸術作品の評価は難しいのですが、いいチャレンジだと思います。この取り組みが人間らしいとされる創造の真髄を知る一歩になればと思います」
    ◇
 星さんの次女で星ライブラリの代表を務める星マリナさんのコメント(一部抜粋)。
父が亡くなって15年。星作品をベースにした人工知能の研究がはじまることになりました。父の頭脳を保存し活性化する試みとも言え、まさにSFの世界です。
天国の父は、作家としては少し複雑な気持ちで、科学者としては名誉な想いで、そしてSFファンとしては好奇心でわくわくしながら、今回のプロジェクトを見守っているのではないでしょうか。
人工知能によって、父の作品と同程度の、またはそれ以上の作品ができる日が来たら、そのとき、うれしいのか、悲しいのか、こわいのか、想像がつきません。
最後にできたものを読んでみたら「あなたたち、人間でしょ。小説くらい自分で考えたらどうなのよ」と書いてあるというオチだったりして……。

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