オススメの1冊、大学生ら書評合戦 21日に全国大会

2012年10月16日

 【保坂知晃】おすすめの一冊を持ち寄り、その魅力を紹介し合う「ビブリオバトル」。そんな「知的書評合戦」が、大学生をはじめ読書好きな人の間で熱を帯びている。読書の秋、お気に入りの本を1人だけで楽しむだけなんて、もったいない――。
 三重県伊勢市で9月下旬、全国大会の予選にあたる三重ブロック地区決戦があった。予選を突破した皇学館大(同市)の学生4人が「ことば」をテーマにした本を一冊ずつ持ち寄った。1人ずつ書評を発表し、「チャンプ本」を決める。
 台本やメモはない。ライブ感を重んじて、即興が原則。それぞれがおすすめの1冊について、5分ずつプレゼンテーションをした後、対戦相手や観客から質問を受ける。この受け答えもアピールチャンスだ。
 対戦した4人と観客14人の計18人の投票の結果、「モノレールねこ」(加納朋子さん著)がチャンプ本に決まった。ネコを通じて手紙をやり取りする小学生2人の物語だ。紹介した同大文学部3年、奥野実希さん(22)が21日に東京都である全国大会「ビブリオバトル首都決戦」(東京都など主催)への出場切符を手にした。
 奥野さんは「心を動かされた本を自分だけのものにするのはつまらない。みんなと共有したい」と魅力を語る。
 ビブリオバトルの生みの親は立命館大情報理工学部の谷口忠大(ただひろ)准教授(34)。京都大大学院の研究員だったころ、輪読会や論文紹介といった勉強会の運営を、退屈に感じたのがきっかけだった。
 「全員が発表者になればいい」「チャンプ本を決めることによって、人の発表に耳を傾ける」。新しいスタイルの書評合戦として2007年に発案。現在は普及委員会の代表も務める。
 名古屋市立大や大阪大などのサークルを中心に全国の大学に広まり、10年に東京で学生の全国大会「首都決戦」が初めて開かれた。参加者は60人ほどだったが、翌年の大会は全国33会場で地区大会があり、参加者は3倍の182人に増えた。今年は300人を超える勢いだ。27都道府県で、大学教授らが務める普及委員97人が、普及活動や地区大会の運営を担う。
 三重県の普及委員は、皇学館大文学部助教の岡野裕行さん(35)。今年の地区大会では、岡野さんが県内の各大学に参加を呼びかけたが、集まった12人は同大の学生ばかりで、普及はまだまだだ。
 皇学館大では7月、県内初のビブリオバトルサークル「ビブロフィリア」(愛書家)ができた。岡野さんは「ビブリオバトルのコンセプトは『人を通して本を知る。本を通して人を知る』。人と人をつなぐツールにもなるところが魅力」と話す。

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