「面白すぎる!」新人作家 すばる文学賞の新庄耕さん

[文]村山恵二  [掲載]2012年11月01日

新庄耕さん 拡大画像を見る
新庄耕さん

表紙画像 著者:新庄 耕  出版社:集英社

 集英社主催の第36回すばる文学賞に、神奈川県川崎市麻生区の新庄耕(しんじょうこう)さん(29)が選ばれた。受賞作「狭小邸宅」は「読んで不快」と酷評されたこともあったが、「作品が世間に与えるインパクトに確信があった」と言う。
 主人公は、都内の不動産会社の営業マン。毎日上司から罵声を浴びせられていたが、小さな戸建てが1軒売れたことを機に変わっていく。値の張るスーツや靴を身につけ、即物的な性格になり、物言いは断定的に……。
 不動産業界の知人の話をきっかけに書いた。原稿を見せた別の出版社の編集者からは「読んでいて不快。文学青年や、文学少女はこんな小説は読まない」と酷評された。しかし、すばる文学賞選考委員の高橋源一郎さんは「不動産屋を主人公にした、単なる(あるいは、よくある)お話にすぎない。だが、あまりに面白すぎる!」と評した。
 大学卒業後、リクルートに入ったが、「大企業の名刺に依存する自分をやめたかった」と1年半で退社。携帯端末向けの広告集めや、映画のスポンサーを集めるベンチャービジネスにかかわる中で、高すぎる理想と現実とのギャップで心の病になった人を見た。利益の追求に親しめず、「書くことで生計を立てたい」という思いが強まった。
 現在はIT会社への派遣社員として働く。「二足のわらじでいけるほど甘い世界だと思っていない。なるべく早く執筆に専念したい」。お気に入りの万年筆に原稿用紙で書き進めている次回作は、都会に住む若い男が主人公。来年4月には完成させたい。「読めばきっと共感してもらえますよ」

■新聞書評はこちらから

この記事に関する関連書籍


ニュース バックナンバー

この記事に関する関連記事

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。



Facebookアカウントでコメントする

ページトップへ戻る

ブック・アサヒ・コム サイトマップ