バイトの権利、マンガで解説 高校教諭が手引書

2012年11月06日

生徒がバイト先からもらってきた雇用契約書を手に授業をする佐藤教諭=大東市の府立緑風冠高校

 えーっ! バイト高校生も有給休暇とれるンだって!――こんなタイトルの本を、大阪府立高校の先生が出版した。雇用契約書の詳しい見方や職場での理不尽な要求への対処法などを、漫画を織り交ぜて易しく解説。すべて、実話をモデルにした内容だ。
 ストーリーの中心は、アルバイトにも正社員と同じように様々な権利があることを授業で学んだ男子高校生が、困難を乗り越えながら有給休暇を認めてもらう話。ここに、最低賃金以下で働いていた男子が教師や弁護士の助言を受けながら時給を上げていく話や、残業代も支払われず疲弊している「名ばかり店長」を間近に見た女子が、バイト先を労基署に告発する話などがからむ。
 府立緑風冠(りょくふうかん)高校で社会科を担当する佐藤功教諭(52)が「航(わたり)薫平」のペンネームで書いた。
 佐藤さんが勤める緑風冠高校では、経済的な理由などから3年生の半数近くにアルバイト経験がある。非正規労働に就く卒業生も少なくない。「実践的な労働法を高校生のうちから学ばせなければ」。現代社会や選択科目の授業で、バイトや非正規雇用の問題を採り入れてきた。
 3年生には「バイト先から雇用契約書をもらってくる」という課題を与えた。数人の生徒が実際に取り寄せた契約書を授業で披露すると、問題のありそうな契約がいくつもみつかった。研修中は時給が50円下がり、その間は最低賃金を下回るもの。「急にやめるときは代わりの人を見つけること」と、本来は雇い主の責任である代替要員の確保義務をバイトに負わせているもの――。
 制服代が賃金から引かれていることを契約書を見て初めて知ったという女子生徒は、「大事な書類はよく読まないといけないということが身にしみて分かりました」。
 佐藤教諭は7年前から、他校の教師や弁護士、司法書士らとともに、非正規雇用や「格差と貧困」などについて月1回のペースで勉強会を重ねてきた。今回出版した内容は、この勉強会で報告のあった授業実践がモデルになっている。「今や多くの人が非正規の仕事に就く時代。『なんか変だ』と思ったときに、使える法律が身近にあることを知ってほしい」と話す。
 漫画は知人のイラストレーター、さえぐさゆきさんが担当した。四六判で160ページ。税別1143円。問い合わせは出版社のフォーラム・A(06・6365・5606)。

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