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キンドル、コボでデビューした自己出版作家・藤井太洋氏が、商業出版社から初めて電子書籍を刊行

[文]林 智彦  [掲載]2013年02月20日

藤井太洋氏の「UNDER GROUND MARKET」。 拡大画像を見る
藤井太洋氏の「UNDER GROUND MARKET」。

藤井太洋さん 拡大画像を見る
藤井太洋さん

 2012年、デビュー作「Gene Mapper」が、キンドル、コボの両電子書籍ストアの売り上げランキング上位に食い込んで話題となった藤井太洋氏が、第二作目「UNDER GROUND MARKET」を朝日新聞出版から電子書籍として刊行した。キンドルストアで販売中で価格は100円。ランキングは「有料本」の66位、「日本の小説・文芸」ジャンルの11位となっている(2月20日現在)。

 同作品は文芸誌「小説トリッパー 2012年冬号」(朝日新聞出版)に掲載した短編を電子化したもの。前作「Gene Mapper」は執筆からファイル制作、アップロードまでを藤井氏本人が手がけたセルフ(自己)出版だったが、今回は朝日新聞出版が刊行元となる。藤井氏にとって、商業出版社を介して本を出版するのは、初の試みであり、また雑誌掲載の小説が、単行本化を経ずに単独の電子書籍として刊行されるのも珍しく、おそらくは日本初のことだと考えられる。
 朝日新聞出版の担当者によると、今回の「いきなり電子化」は著者の発案によるもので、電子書籍でデビューした著者のファンは、紙の書籍よりも電子書籍を好むのではないかと考えたためだという。
 「UNDER GROUND MARKET」の舞台は、近未来の日本。「アイペイペイ」というネット決済サービスが普及し、国家権力の統制を受けないもう一つの経済圏(地下経済=underground market)を生み出している時代。東京・渋谷のストリートを根城にフリーランスで働くウェブクリエーターの三人組は、ひょんな行き違いから、アイペイペイのアカウント(会員資格)を取り上げられそうになる。ネット決済が社会の隅々まで普及した社会では、アカウントの停止は、経済的な死を意味する。三人はアカウント削除を避けようと、アイペイペイのオーナーである強大な中国資本に立ち向かおうとするが……。
 「Gene Mapper」の舞台が2037年と、かなり先の未来だったのに対して、UNDER GROUND MARKETは2018年。そのぶん、描かれる内容も身近な情景や社会情勢を背景としており、Gene Mapperよりとっつきやすいかもしれない。
 キンドルで購入した本はキンドル端末(キンドル・ペーパーホワイトやキンドル・ファイアHDなど)を持っていなくても、スマートフォンやタブレット用アプリで読める。

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