幻想世界描き続ける83歳 皆川博子、初期作相次ぎ出版

[文]中村真理子  [掲載]2013年04月03日

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日本ミステリー文学大賞を受けた皆川博子

表紙画像 著者:皆川 博子、佳嶋  出版社:早川書房

 耽美(たんび)な幻想世界を描き続けてきた作家、皆川博子。デビュー40年を超えた今、1970~80年代の作品を集めた本が相次いで出版されている。昨年は『開かせていただき光栄です』で本格ミステリ大賞、そして今年は日本ミステリー文学大賞を受けた。新刊は途切れず、既刊も読み直されている。のりにのっている83歳だ。
 装丁もきらびやかな『皆川博子コレクション1 ライダーは闇に消えた』(日下三蔵編、出版芸術社)は、表題作の長編ほか、13編を収録。コレクションは全5巻で11月に完結予定、文庫未収録作のみを集めるという。もう1冊は『ペガサスの挽歌(ばんか) シリーズ日本語の醍醐味(だいごみ)4』(烏有書林)。小説現代新人賞でデビューする前の児童文学4編と、70年代に発表した単行本未収録の8編を集めた。
 初期に単行本や文庫の未収録作品が多いのは、中間小説の全盛期だった、という時代背景がある。編集者からは、タイトルに「殺人事件」をつけろ、時代小説を書け、と言われていたそうだ。一方で幻想小説も書き続ける。読者を魅了する甘く濃密な世界は、本人が一番愛していた。
 日本ミステリー文学大賞の贈呈式で、「大人の雑誌で、大人の読者を対象にして書くことを全然予定に入れていませんでした。犬かきもできないのに、背の立たない深い海に突然放り込まれたよう」とデビューまもない頃を振り返りつつ、「年齢からいって、この先どれくらい書けるかわかりませんけれど、この賞で花道に立たせていただきました。揚げ幕まできちんと六方を踏んで、できれば飛び六方で、というのは体力的に無理ですけれど、しっかり書き続けていきたいです」と話した。

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