「舞姫」エリスのモデル、生きた証し 写真みつかる

2013年08月29日

 森鴎外が自らの悲恋をもとに書いたといわれる小説「舞姫」のヒロイン、エリスのモデルとされるドイツ人女性エリーゼ・ヴィーゲルトの写真がみつかった。ベルリン在住の作家六草(ろくそう)いちかさん(50)が捜し出した子孫が保管していた。実在していたことは公文書などで確認されていたが、生身の姿が初めて現れた。
 中年になっていて、「舞姫」で描かれた薄幸の美少女という面影は遠いが、髪形や髪飾りにおしゃれ心が感じられる。写真ははがき大で、当時の夫マックス・ベルンハルドと写っている。撮影されたのは1908~18年、エリーゼ41~52歳の間のようだ。
 裏面には、チェコの高級リゾート地の写真館の名前が印刷され、エリーゼの直筆で、妹エルスベスへのメッセージがしたためられている。エルスベスの孫にあたる人物が所蔵。晩年のエリーゼにも数回会っていて、「豪快で、決めたことは実行する人。モダンな考え方の持ち主」と印象を語ったという。
 鴎外の曽孫、森千里・千葉大予防医学センター長は「よくぞ見つけた、の一言。エリーゼが生きた証しが浮かび上がってきた。写真を発見する過程は筆者のエリーゼ探しの強い思いが天に通じた奇跡の連続だ」と喜ぶ。
 六草さんは今回の発見を新刊「それからのエリス いま明らかになる鴎外『舞姫』の面影」(講談社)にまとめた。9月3日発売予定。

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