盗んだバイクで走り出さず… 「さとり世代」生態、本に

[文]古田真梨子  [掲載]2013年10月28日

「今どきの若者」について30時間以上の議論が行われた=角川書店提供 拡大画像を見る
「今どきの若者」について30時間以上の議論が行われた=角川書店提供

「今どきの若者」について30時間以上の議論が行われた=角川書店提供 拡大画像を見る
「今どきの若者」について30時間以上の議論が行われた=角川書店提供

表紙画像 著者:原田 曜平  出版社:角川書店 価格:¥ 843

 若者を対象とする研究者と約60人の大学生が「いまどきの若者」について計30時間以上、徹底的に語り合った。そこから見えてきたのは、バブル世代などの大人とは大きく異なる価値観だ。議論は一冊の新書にまとめられた。題して「さとり世代――盗んだバイクで走り出さない若者たち」。
 著者は博報堂ブランドデザイン若者研究所(通称・若者研)のリーダー、原田曜平さん(36)。5~8月、若者研に「現場研究員」として参加している首都圏や関西圏の大学生と、消費、恋愛、友だち関係など幅広いテーマについて語り合った内容をまとめた。
 スキーブームの当時、ウエアを毎年買い替えていた人もいたというバブル世代について「エコじゃないです」(3年・女性)。海外旅行は「日本も海外も生活様式が変わらない。景色しか変わらないなら別に行かなくてもいいかな」(3年・男性)。「ブランド品を欲しがるのは『下流』です」(4年・女性)。
 今の大学生は2002~10年度の学習指導要領のもとで学校教育を受けた「ゆとり世代」。ネガティブに評価されることが多かっただけに反発もにじむ。
 「高級車に乗りたいなんて訳分からない。軽で十分だし、他のことにお金を使った方が合理的。むしろ僕たちの方が、上の世代をネガティブに思っている。よくそんなことできたねっていうイメージです」(4年・男性)。「(経済的に恵まれていた)バブル世代こそゆとり世代」(4年・男性)。「大人たちは、私たちをかわいそうだと言う。経済が悪くて不幸な時代だねって。でも、別に自分が不幸だなんて思ってない」(4年・女性)
 職業観について、「平均的な収入で、普通に生活できればいい。上り詰めるまでの苦労とかリスク、責任を考えたら、そこまでいらないかな」(2年・女性)という声もあった。
 そんなふうに淡泊で、上の世代から意欲が低く見える特徴を持つ10代~20代半ばの若者は「さとり世代」とも呼ばれる。
 議論の結果について、原田さんは「首都圏を中心にした学生中心の意見」としながらも、「不安定な日本の状況に対応すべく、さとった風な態度を取るに至った若者が多いのではないか。行動力と無駄を失っているように感じる。その重要性を我々大人が説いていかねばならない」と話す。
 一方、「けしからん、と言う前に、彼らから学べることはたくさんある」とも言い、冷静に時代を読む能力や本当に必要なものを選ぶ感性を評価している。
 「さとり世代」は角川書店刊(820円)。

この記事に関する関連書籍


ニュース バックナンバー

この記事に関する関連記事

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。



Facebookアカウントでコメントする

ページトップへ戻る

ブック・アサヒ・コム サイトマップ