安楽死は「納得して迎える死」 オランダの現状を本に

2014年01月15日

オランダの安楽死と在宅ケアの現状について語るシャボットあかねさん(左)とヤープ・シュールマンズ医師=11日、台東区花川戸

 オランダで認められている経口薬や注射による「安楽死」について、同国在住の通訳シャボットあかねさん(66)が、都内や川崎市で講演した。シャボットさんは今月、「安楽死を選ぶ オランダ・『よき死』の探検家たち」(日本評論社)を出版。同国の現状や具体的な事例を、安楽死の処置に携わることの多い家庭医とともに語った。
 シャボットさんによると、同国の「安楽死法」は2002年に施行された。患者からの要請▽絶望的で耐え難い苦しみがある▽他に合理的解決策がない▽独立した医師によるセカンド・オピニオン――など6要件を満たせば、緩和ケアの一環として、医師が処置できる。薬を投与したり、注射したりする方法で患者の生命を終わらせるが、刑法の自殺幇助(ほうじょ)罪や嘱託殺人罪に問われない。
 安楽死が認められた背景として、シャボットさんは、個人の自己決定の尊重や、関係者が納得できるまで対話を尽くす国民性を挙げる。
 安楽死の是非を判断し、処置を担う医師の多くは、家庭医と呼ばれるかかりつけの医師だ。患者の心身の状態や病歴、家族環境、生活環境など全体像をつかんだうえで判断する。
 12年度に同国で報告された安楽死は4188人。このうち家庭医が処置をしたのは3777人に及ぶ。安楽死を求めた人のうち、3251人が末期がんなどの患者。ただ、末期の重病以外でも、「絶望的で耐え難い苦しみ」と医師に理解されれば、安楽死が認められる場合も少数だがあるという。
 11日の台東区での講演会では、オランダ人家庭医のヤープ・シュールマンズさん(52)も経験を語った。昨年は30人をみとり、うち1人は安楽死だった。
 乳がんが骨に転移し余命が長くないと知った女性は「死ぬまで待たず、自分で終わらせたい」と希望。別の医師のセカンド・オピニオンでも認められ、意思表明の5日後に安楽死の処置をした。シュールマンズさんは「有効な治療法がない場合、治療よりも生活の質を保つことが大切な場合もある」と述べた。
 シャボットさんも、自身が要件を満たす状況になったら、安楽死を選びたいと家庭医に文書で伝えた。「安楽死のほとんどは、自宅で家族や愛する人たちに囲まれて納得して迎える死。自己責任の名のもと、孤独のまま死を選ぶ自殺とは対極にある」と強調する。

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