やさしい憲法今こそ 制定尽力の学者著書60年ぶり復刻

[掲載]2016年10月31日

復刻された「憲法と君たち」の表紙 拡大画像を見る
復刻された「憲法と君たち」の表紙

故・佐藤功さん 拡大画像を見る
故・佐藤功さん

父親の佐藤功さんの思い出を語る長女のさとうまきこさん=東京都世田谷区 拡大画像を見る
父親の佐藤功さんの思い出を語る長女のさとうまきこさん=東京都世田谷区

表紙画像 著者:佐藤 功、木村 草太  出版社:時事通信社

 日本国憲法の制定にかかわった憲法学者が子どもたち向けに憲法の大切さなどをつづった本が今月、60年ぶりに復刻された。11月3日で憲法公布から70年。戦争の犠牲のうえに生まれた憲法に託した思いが、やさしい語り口でよみがえる。
 本は「憲法と君たち」(時事通信社)。筆者は佐藤功氏で、1955年に出版された。佐藤氏は法制局参事官として憲法制定の作業に携わった後、上智大や東海大の教授などを務め、2006年6月に91歳で亡くなった。
 「憲法が新鮮で人々の希望だった時代を思い返し、今がどんな世の中なのかを見つめ直したい」。長女で児童文学作家のさとうまきこさん(68)はこう語る。父の死から10年の節目に知人の協力を得て、出版社に復刻を相談し、実現した。 「憲法と君たち」が出版された55年は、自主憲法制定を掲げる自民党が誕生した年。復古的な改憲論の高まりの中、佐藤氏は、憲法が生まれた歴史をひもとき、憲法の民主主義、基本的人権、平和について「どうしても変えてはならない」と著書で語りかけた。そして、国会や内閣も「憲法をやぶることがある」とし、「憲法が君たちを守る。君たちが憲法を守る」と呼びかけていた。
 それから61年。安倍政権が成立させた安全保障関連法は国論を二分し、「立憲主義の危機」が語られる。さとうさんも昨年、国会前での抗議デモに足を運んだ。「私にも孫が2人います。子どもたちの未来を考えるために、憲法とは何かを父の本を手にとって考えて欲しい」
 解説を寄せた若手憲法学者、木村草太・首都大学東京教授(36)は話す。「佐藤氏は、敗戦直後のひどい暮らしの中で憲法を作ろうと努力した一人。子ども向けに本を書いたのは、憲法が変えられて自由が奪われかねないという危機感があったのだろう。それは決して過去の話ではない」
 復刻新装版は197ページで、1200円(税抜き)。(編集委員・豊秀一)

この記事に関する関連書籍

復刻新装版 憲法と君たち

著者:佐藤 功、木村 草太/ 出版社:時事通信社/ 発売時期: 2016年10月


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