ユーモア・感慨、受賞の言葉 芥川賞・直木賞贈呈式

2017年03月01日

芥川賞を受けた山下澄人さん(右)と直木賞の恩田陸さん=東京都内

 第156回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が2月23日、東京都内で開かれた。芥川賞の山下澄人さん、直木賞の恩田陸さんが受賞の喜びを語った。

 山下さんの受賞作「しんせかい」は、19歳の「山下スミト」が、「谷」と呼ばれる北海道の寄宿舎で演劇を学ぶ2年間を描いた青春小説。山下さんは自分の作品に対する“選評”を披露し、「面白いのかと聞かれれば、うーんといい、面白くなかったのかと聞かれればやっぱりうーんといい、その日の虫の居どころがよければなんか面白いような気もすると答えるかもしれない。芥川賞には、僕は推さない」と自虐的に語り、会場を沸かせた。

 選考委員の小川洋子さんは受賞作を「理屈でたどり着けないところへ読者を置き去りにする」作品と評し、「言葉以前の痛々しい言葉を持った作家」の次作を期待した。

 恩田陸さんは「小説家の仕事は、長距離列車に似ている。運転席にはたった一人、毎日こつこつ書くしかない」と切り出し、「直木賞は乗降客の数も停車時間も、桁違いに大きな駅だった。これからも、見たことのない景色が見えるところまで走っていきたい」と抱負を述べた。

 受賞作『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)は、ピアノのコンクールを題材にした青春群像劇。選考委員の北方謙三さんは「1ページ読んだら、やめられない。食事もパンと水だけにして10時間、一気に読んだ。2回目に読んで活字から目を離すと、音が聞こえてきた。小説の新しいあるべき姿を見せてくれた」とたたえた。

 (板垣麻衣子、柏崎歓)

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