(オススメ 編集部から)紛争の現場に人間を見る 長倉洋海

2017年04月23日

 世界各地の紛争の現場に身をおきつつ、人間の姿にまなざしを向ける。そんな姿勢で撮影を続けてきた長倉洋海の写真集『Hiromi Nagakura』(未来社、1万5120円)が刊行された。38年におよぶキャリアの中で「自分の中に深く沈殿した写真」を自選した。
 えんじ色のボックスにテーマ別の5分冊。選ばれた写真は、困難な状況でも懸命に生きる人々の営みを伝える。なかでも「ACROSS BORDERS」と題した分冊には、豪州の洞窟に残されたアボリジニーのハンドプリント(手形)や、温暖化が進むミクロネシアの海辺で遊ぶ子供たちといった、伝統や文化、環境を考えさせる写真が並ぶ。「人間を支えるバックボーンを探った」という写真群は、長倉の今後の方向性をうかがわせる。
 これまでの仕事を集成した写真展「フォトジャーナリスト 長倉洋海の眼」も開かれている(5月14日まで、東京都写真美術館)。
 (西岡一正)

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