(オススメ 編集部から)50年代の欧米クラシック音楽

2017年05月21日

 海外渡航が夢のまた夢だった1950年代。本場のクラシック音楽を体験すべく、吉田秀和、山根銀二ら音楽関係者が米国や共産圏を含む欧州を長期周遊した。彼らはトスカニーニやフルトベングラー、カラヤンやM・カラスらの演奏を聴き、何を感じたのか。
 山崎浩太郎著『演奏史譚1954/55 クラシック音楽の黄金の日日』(アルファベータブックス・3456円)は、「過去を締めくくり、未来を予告する」と位置づける54年と55年の音楽界を中心に、吉田らの足跡を追いながら47の興味深い歴史物語として描く。
 著者は、ラジオ番組の選曲・解説者で音楽批評家。当時は東西冷戦のさなかで、指揮者や演奏家の新旧交代期でもあった。G・グールドらが登場し、ステレオ録音が始まる。今日、当時のライブ演奏の多くは聴くことができる。本書に導かれながら、往年の名演に耳を傾け、様々な葛藤の中で音楽と生真面目に向き合った時代の息吹を追認するのも楽しい。(依田彰)

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