(オススメ 編集部から)罰金・発禁に負けない

2017年06月04日

 「今(いま)の○○軍(ぐん)○○事(じ)○當(たう)○○局(きよく)○○○者(しや)は○○○○つ○ま○ら○ぬ○○事(こと)までも秘密(ひみつ)○○秘密(ひみつ)○○○と○○○云(い)ふ○○て……」
 1904(明治37)年3月23日発行の「滑稽新聞」の記事だ。伏せ字だらけに見えるが、○を飛ばすと、ふつうに読める。日露戦争をあおる世相をからかう、宮武外骨によるものだ。
 生誕150年、『別冊太陽 宮武外骨 頓智(とんち)と反骨のジャーナリスト』(平凡社・2592円)が出た。筆禍による入獄4回、罰金や発禁29回にも負けず、1千冊を超える雑誌や本を刊行した外骨の世界を、様々な角度から紹介している。
 外骨の「過激」が、時を経ても読者に受け入れられるのは「愛嬌(あいきょう)」からくる。その「愛嬌」とは外骨の誠実さだと、伊丹市立美術館の多忠秋(おおのただあき)副館長は書いている。これは、外骨と親しかった政治学者・吉野作造の言葉と通じるようだ。
 「世間に偽善者は多いが、彼は唯一の偽悪者である、我は偽善者よりも偽悪者を好む」
 (石田祐樹)

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