千葉雅也が説く「勉強の哲学」

2017年06月28日

講演する千葉雅也さん

 哲学者で立命館大准教授の千葉雅也さん(38)が5月、勉強のノウハウを説いた『勉強の哲学 来たるべきバカのために』(文芸春秋)をもとに母校の東京大で講演した。「勉強すればキモくなる。キモくなっていなければ勉強が足りない」と語りかけた。

 『勉強の哲学』は4万5千部を超え、東京大や京都大の大学生協では1位の売れ行きにもなった。自己啓発本のような文体で書かれているが、本の正体は、本格的な哲学だ。千葉さんは講演で、思想家ミシェル・フーコーの「統治性」という概念を取り上げた。例えば、誰も見ていなくても赤信号では立ち止まる。「国家に従順であれ、と人間を羊のように飼いならす統治性のシステムがある。空気を読み、従順なら無難にサバイバルできるという価値観を内面化させられてしまった。とがったもの、危ないものを抑圧する力は強まっている」

 そこから逃れる方法が勉強だと指摘する。それは英語力をつけるとか、計算力を高めるといった表面的な技能とは別のレベルのことだ。自らの価値観を変え、物事の基準を変えてしまうほど勉強すること。それは空気を読まない「バカ」になることとし、その「ノウハウ」を本で提示する。

 千葉さんは学生らに「今の社会を捉えて、別の価値を作り出して逃走線を引く。勉強とは統治性への抵抗。周りから浮くためにも、キモくなることを考えましょう」と呼びかけた。
(高津祐典)

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