(オススメ 編集部から )歌舞伎をもっと楽しもう

2017年07月09日

 歌舞伎人気が高い。何度か見て、もっと知りたいという向きに役立ちそうなのが、矢内賢二著『ちゃぶ台返しの歌舞伎入門』(新潮選書・1296円)。きれいな舞台にうっとりするだけでもかまわないが、独特な約束事や決まりを知っていれば、舞台をより楽しむことができる。
 著者は大学生の時初めて歌舞伎を見て、「よくわからない奇怪なもの」の魅力にとりつかれ、研究者になった。自身の観劇体験をもとに、能狂言や舞楽、また近代以降の演劇と異なる歌舞伎ならではの表現とは何かを順序立てて検討する。たとえば、「白浪五人男」では、5人が次々名乗りをあげ、決めポーズ。せりふの流れとツケの音と視覚聴覚ないまぜで盛り上がる。著者幼少時に夢中になったテレビ番組「秘密戦隊ゴレンジャー」みたい、と思ったら、「ゴレンジャー」の方が「白浪五人男」をモデルにしていた――などなど、歌舞伎は実は、現代のエンターテインメントの源泉でもあった。(大上朝美)

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