芥川賞に沼田真佑さん 直木賞に佐藤正午さん

2017年07月19日

芥川賞の受賞が決まった沼田真佑さん=19日午後、東京都千代田区、関田航撮影

 第157回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に沼田真佑(しんすけ)さん(38)の「影裏(えいり)」(文学界5月号)、直木賞に佐藤正午(しょうご)さん(61)の「月の満ち欠け」(岩波書店)が選ばれた。副賞は各100万円。贈呈式は8月下旬、東京都内で開かれる。

 沼田さんは1978年、北海道小樽市生まれ。子供時代は父の仕事の都合で引っ越しを重ね、中学からの約20年間は福岡・博多で過ごした。西南学院大卒。2012年から両親の暮らす岩手・盛岡に住む。
 小説を書き始めたのは20代前半だという。今回の作品は今年の文学界新人賞の受賞作で、デビュー作でいきなり芥川賞を射止める快挙となった。
 受賞作は、親会社に異動を命じられ、数年前から岩手の子会社に勤める男性が主人公。職場にも土地にもなじめずに空虚な日々を過ごす男性が唯一心を通わせかけた相手は、東日本大震災で消息を絶つ。社会の片隅で生きる人間の孤独と焦燥、そしてそんな人物が接した被災地の姿を、繊細な筆致で描いた。

 佐藤さんは55年、長崎県佐世保市生まれ。北海道大を中退後、地元に戻って小説を本格的に書き始め、83年に「永遠の1/2」ですばる文学賞を受賞し、デビューした。以後、佐世保を離れず執筆を続けている。
 奇抜なストーリーに説得力を与える滑らかな文体には定評がある。15年、「鳩(はと)の撃退法」で山田風太郎賞。今作が初の直木賞候補だった。
 受賞作は、月が欠けてもまた満ちるように、死んでも生まれ変わりを繰り返す女性をめぐる物語。初老の会社員小山内は東京駅のカフェで、小学生の少女と出会う。その少女るりは、自分の前世は若くして亡くなった小山内の娘だと告げるのだった。生まれ変わりという信じがたい告白に直面した人々の揺れ動く心を細やかに描き上げた。

 →佐藤正午さんの本

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