(オススメ 編集部から)核廃絶をあきらめない

2017年08月20日

 この7月に国連で、核兵器の使用や保有を違法とする「核兵器禁止条約」が史上初めて採択された。「核なき世界」への具体的な第一歩で、日本の被爆者や市民の地道な反核平和運動が大きな役割を担った。その実例の一つが広岩近広著『核を葬れ! 森瀧市郎・春子父娘の非核活動記録』(藤原書店・2808円)に詳しく、示唆に富む。
 森瀧市郎(1901~94)は広島で被爆した哲学者で、「反核の父」とされる。原爆孤児救済を掲げ、核実験、原発など「核の平和利用」を糾弾。「核と人類は共存できない」と訴え続けた。娘の春子もまた、劣化ウラン弾で被曝(ひばく)したイラクや原発事故を被った福島など各地の「核被害者」の苦境に向き合い、核兵器開発と一体の日本の原発輸出策を強く批判してきた。
 だが、核抑止論に依拠する一握りの核保有国や日本も、核廃絶に後ろ向きだ。本書は平和の構築を決してあきらめず、被爆国の一員として何をすべきか問いかけている。
 (依田彰)

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