影響受けたのは一緒に飯食ってくれた人 芥川賞の沼田さん、贈呈式で喜び語る

2017年08月30日

芥川賞の沼田真佑さん

 第157回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が25日、東京都内で開かれ、芥川賞の沼田真佑(しんすけ)さんが喜びを語った。直木賞の佐藤正午さんは体調不良のため欠席した。
 沼田さんの芥川賞受賞作「影裏」(文学界5月号)は、主人公の男性が唯一心を通わせかけた友人が、東日本大震災で消息を絶つくだりが、物語の転換点になる。選考委員の山田詠美さんは「ある人間に出会う前と後ではっきり人生が変わる瞬間を経験する人は少なくない。その境目のところでこぼれてくる言葉を拾い上げた」と評した。
 あいさつに立った沼田さんは「影響を受けた人物は誰かと、取材で何度も聞かれた。腐りかけたときに一緒に飯を食ってくれた人、やけになりかけたときに長電話に応じてくれた人、金のないときに金をくれた人、そんな方々に自分は大きな影響を受けたんだと思う」と語った。
 佐藤さんの直木賞受賞作『月の満ち欠け』(岩波書店)は、生まれ変わりを繰り返す女性をめぐる物語。選考委員の伊集院静さんは「人間の死のかたちというのは何なのかということを書いたのではないか。非常にいい作品だ」とたたえた。
 岩波書店の担当編集者、坂本政謙さんが「体調に不安があり、欠席ということになった」と報告。「書く仕事を続けること、それ以外にこの直木賞という得がたい贈り物へのお返しの方法はないと考えています」とのメッセージを代読した。(柏崎歓)

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