(オススメ 編集部から)日本企業の「病巣」

2017年09月17日

 江上剛著『病巣 巨大電機産業が消滅する日』(朝日新聞出版・1728円)は、東芝の現状に想を得た経済小説だ。
 芝河電機は利益操作や粉飾決算、買収した米国の原発企業の巨額損失といった問題を抱えていながら、経営陣は「チャレンジしろ」とお題目のように繰り返して、目先の数字だけを追いかける。萎縮し、苦悩する社員。自殺者まで出る。
 企業における「正義」の軽さが、これでもかとばかりに展開される。日本の企業のこの「病巣」に思い当たる企業人は、少なくないのではないか。
 物語では、むしばまれていく会社を救いたい一心で中堅社員が立ち上がり、知恵を絞り、行動を起こす。しかし現実社会では、そううまくいくことは、なかなかないだろう。
 そうであっても、日本中の中堅・若手社員の正義感と倫理観を信じ、期待もしている元銀行マンの著者の気持ちは、強く伝わってくる。企業人に、ぜひ読んでほしい。(西秀治)

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