退位、焦るカレンダー業界 12月23日は祝日? 迫る印刷開始

2017年09月29日

校正作業が始まっている2019年版カレンダー。現天皇誕生日の12月23日は平日と仮定して作業を進めているという=大阪市東成区の新日本カレンダー

 天皇陛下の退位についての政府発表をめぐり、中小のカレンダーメーカーが気をもんでいる。改元の時期はいつか、現在の天皇誕生日は祝日になるか――。印刷開始のリミットが刻々と迫る。
 「我々には、残された時間があまりない」。そう語るのは、年800万冊のカレンダーを製作する島商会(大阪市東成区)の島康浩社長(58)。同社は、企業や商店が名前を入れて得意先などに贈るカレンダーを手がける。多くの場合、手作業で名前を入れる。「印刷は1年がかり。2019年版は、通常なら今年12月に印刷を始めます」
 ただ、政府は天皇陛下の退位日と元号を改める改元日を発表していない。「18年12月下旬に退位、19年元日に改元」と「19年3月末に退位、4月1日に改元」の両案を検討しているとされる。28日の臨時国会冒頭で衆院が解散し、決定は11月以降の見込みだ。
 業者にとっては、新元号や改元日にも増して、いまの天皇誕生日(12月23日)が祝日になるか、平日になるかが重要という。昭和天皇の誕生日が平成元年(1989年)から「みどりの日(現・昭和の日)」となったように、祝日法の改正で12月23日が名称を変えた祝日になる可能性もある。祝日なら日付の色を赤に、平日なら黒にしなければならない。
 同社など、名入れのカレンダーを主に製造する中小企業30社による全国カレンダー出版協同組合連合会(東京)は昨夏以降、国会議員らに陳情を続けている。新元号や祝日の扱いなどを18年1月までに発表してほしいと訴える。
 カレンダーの表紙には、「変更の場合がある」と断り書きが入ることが多いが、「情報を載せて売っている。正確さが大事です」と同連合会の宮崎安弘会長(59)。連合会の企業で、全国に流通するカレンダーの約半数の1億冊を手がけており、製造が間に合わなければ打撃も大きい。自らも新日本カレンダー(大阪市東成区)の社長を務める宮崎氏は「皆さんのお役に立つカレンダーをきちんとお届けしたい」と語る。

 ■免許証「平成34年」?
 ほかの業界ではどう対処しているのか。
 手帳を製造、販売している高橋書店(東京)も、日本能率協会マネジメントセンター(同)も、手帳の中のカレンダーで、基本的に元号と西暦を記してきた。だが、18年版に収まる19年のカレンダーは元号の記載をしていない。また、19年については、現在の天皇誕生日を祝日、皇太子さまの誕生日の2月23日は平日で表しているという。
 一方、元号にこだわるところもある。例えば運転免許証。特例法は平成32年6月までに施行するため、少なくとも同33年以降は存在しない表現となるが、有効期限を「平成34年」と記したものも発行されている。
 警察庁は「国や地方公共団体など公的機関の事務については元号を使用するのが慣行」と説明。各人が新元号や西暦に読み替えることになる。ちなみに、平成になった際は、改元から約2週間後に新元号の免許証を発行したという。(荻原千明)

関連記事

ページトップへ戻る