(オススメ 編集部から)日本にルーツを持つ米国人たち

2017年11月19日

 1904年から2017年までの百有余年を舞台に日系米国人3世代の生き様を描いた『星ちりばめたる旗』(ポプラ社・1836円)は、米国在住の作家・小手鞠るいにとって、渾身(こんしん)の一作だろう。
 主人公は、人種差別や日本人排斥の流れに耐えながら成功を収めた一家。だが太平洋戦争が運命を狂わせる。家族はばらばらになり、強制収容所に送られたり、戦死したりする。星ちりばめたる星条旗の下、日本にルーツを持つことが罪になった時代だった。
 日本人であること自体に苦しめられた祖母。母はルーツを捨てようとした。戦後成長した「私」は、その日本にひかれていく。3世代の女たちの思いが重層的に描かれ、国とは何か、正義とは何かという問いを読者に突きつけてくる。
 私たちは誰もが「名もない星」だが、著者はこんな言葉を最後に用意している。「その営みを、その儚(はかな)い運命を、わたしは尊く美しいものだと思っています」
 (西秀治)

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