泉鏡花文学賞に松浦理英子さん 長編「最愛の子ども」

2017年11月27日

 地方自治体が制定する文学賞の先駆けとして金沢市が1973年に創設し、45回目を迎えた泉鏡花文学賞の授賞式が19日、金沢市の金沢市民芸術村で開かれ、「最愛の子ども」(文芸春秋)の松浦理英子さんに正賞の八稜鏡(はちりょうきょう)と副賞100万円が贈られた。
 私立高校を舞台に、友情とも恋愛とも割り切れない関係で結ばれた3人の少女を描いた長編小説。選考委員の山田詠美さんは「本の扉を開いたと同時に松浦さんだけがつくり得るドールハウスをのぞいたような気持ちになった。読み進めていくうちに、濃密な世界に松浦さん独特の言葉が結露のように落ちてくる。現実社会と幻想の社会を行き来して、泉鏡花の賞にふさわしい」と評した。松浦さんは受賞記念スピーチで「思いがけず泉鏡花賞をいただき、大変光栄に感じている」と喜びを語った。
 選考委員の五木寛之さんは45回を迎えた賞について「地方文学賞というものが鏡花賞に続いて続々と出たが、残念なことに最近一つ一つ落城している。長く続けばいいというものではないが、この賞の重さがどの賞とも違う、特別の関係を持っていることを感じてならない」と述べた。(浅沼愛)

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