( オススメ 編集部から )看護師が問う生と死

2018年01月21日

 現役の看護師である藤岡陽子さんが書いた医療小説の『満天のゴール』(小学館・1512円)は、人生の意味や死というものを考えさせられる作品だ。
 主人公は4人。夫に裏切られて故郷に戻り、看護師として働き始める33歳の女性と10歳の息子。悲惨な過去を持ちながらも、辺地での医療に情熱を傾ける35歳の男性医師。人生をあきらめ、ただ死を待っている72歳の女性。
 過疎地域に暮らす人々の営みの中で、4人の人生が交錯する。過去の痛みや悲しみ、生きていくつらさを抱えながらも、小さな希望を杖に前を向く4人の姿が印象的だ。
 「身近な者だけで穏やかに迎える最期は、幸福な誕生と同じくらいに大切な時間」「たった一度の死だから、自分にとっても周りにとっても悔いのないものにしたい」。作中にちりばめられているこうした言葉の数々が、心に染み入ってくる。読了後、家族や周囲の人たちを慈しむ気持ちが深くなる。(西秀治)

満天のゴール

著者:藤岡 陽子
出版社:小学館

表紙画像

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