「焼く」と「炒める」の違いは? 広辞苑新版で三浦しをんさん×編集責任者

2018年01月28日

言葉の微妙な意味の違いについて語り合う三浦しをんさん(右)と平木靖成さん

 「焼く」と「炒める」、「出し渋る」と「出し惜しむ」……。意味の違いは何だろう? 知っていそうで分からない言葉の奥深さについて、辞書編集をテーマにした小説『舟を編む』の作家、三浦しをんさんが、広辞苑第7版の編集責任者と語り合った。
 「類義語の書き分けは今回の改訂の柱。第6版の編集・校正をしている頃から考えていました」
 都内で開かれた発売記念イベント「広辞苑大学」で、編集責任者を務めた、岩波書店の平木靖成さんはこう振り返った。第7版への改訂は10年ぶり。類義語の語釈に大きな違いがないことが気になっていたという。
 例えば「焼く」と「炒める」は第6版ではこうだ。
 【焼く】火に当てる。あぶる。
 【炒める】食品を少量の油を使って加熱・調理する。
 「『油を使って』というところに若干の違いを感じますが、料理が下手そうですね、広辞苑」と三浦さん。
 しかし、第7版では、
 【焼く】火を当てたり熱した器具の上に乗せたりして、食材を加熱・調理する。
 【炒める】熱した調理器具の上に少量の油をひいて、食材同士をぶつけるように動かしながら加熱・調理する。
 三浦さんは「違いは『ぶつけるように』という動きですね!」と納得。平木さんも「ようやく上手に料理ができるようになりました」と笑った。
 次いで「出し惜しむ」と「出し渋る」。三浦さんは「違うのは分かるけど、どう言い分ければ……」。
 第7版ではこうだ。
 【出し惜しむ】ものを出すことをもったいなく思う。惜しんで出さずに済ませようとする。
 【出し渋る】ものを出すことをためらう。いやがって出さずにいる。
 「絶妙! 出し惜しむものって、自分にとって価値があるものだけど、出し渋るものは、自分にとっての価値は別って感じですよね」と三浦さん。平木さんは「こいつは嫌なやつだから、出し渋るとかね」と答え、会場を沸かせた。
 見直しは国立国語研究所に依頼。6千語以上の動詞が対象になったという。
 このほか、「助兵衛根性」「リセット」「オタク」など、この10年での意味の広がりから語釈を追加したり書き換えたりしたものもあった。
 最後に三浦さんは製本技術などにも触れ「多くの人の知恵と技術が詰まっている。じっくり味わってほしいですね」と語った。(塩原賢)

広辞苑 第七版(普通版)

著者:新村 出
出版社:岩波書店

表紙画像

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