( オススメ 編集部から )仲間の死を悲しむ動物

2018年03月04日

 ベリンダ・レシオ著『数をかぞえるクマ サーフィンするヤギ』(中尾ゆかり訳、NHK出版・1728円)が面白い。書名だけでなく、副題にも「動物の知性と感情をめぐる驚くべき物語」とあるように、本書には動物の知られざる能力の高さを示す興味深いエピソードがてんこ盛りだ。
 例えばイルカやチンパンジーだけでなく、論理的な思考や推測ができるらしいタコやアシカもすごい。とくにタコは、全神経細胞の約半分が8本の腕にあり、それが脳と目の役割を果たしているという。絵を描くゾウ、作詞作曲するザトウクジラも才能豊かだが、星を利用して道を見つけるというアザラシやフンコロガシも賢い。さらに動物にも「自意識」があり、家族や仲間の死を悲しむという。
 本書に通底するのは、人間の臆測や偏見からではなく、多彩な動物固有の視点に立って考察する姿勢だ。様々な動物の命をとらえた表情豊かな写真からは、彼らの生存権を改めて認識させられる。 (依田彰)

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