家族社会学者・永田夏来 未婚時代の家族のかたち、探る

2018年04月11日

永田夏来さん (44歳)

 昨年8月に刊行した初の単著『生涯未婚時代』(イースト新書)で注目を集めた気鋭の家族社会学者。女性誌「Oggi」「VERY」でインタビューされ、インターネットテレビ「AbemaTV」のトーク番組「Wの悲喜劇」に出演するなど引っ張りだこだ。
 同書では1980年までは5%未満だった生涯未婚率が90年以降、急激に上昇し、2015年には男性が23%、女性が14%に達したと指摘。結婚によって成立する「家族」が、もはや賞味期限切れの存在になっていると喝破した。
 「高度成長期以降のこれまでの家族には幾層もの『○○すべき』が押しつけられてきました。婚姻届を出すべきで同居すべきで、家事・育児などのケア労働をし、セックスを伴う愛情も持つべきだと。でも、低成長時代になり、家計を支えた終身雇用も崩壊しており、家族も変わらざるを得ません」
 同書でも触れたが、例えばシェアハウスでの共同生活が、従来の家族が担ってきた家事・育児や精神の安定を支える機能などを持つとみる。
 ただ、家族へのアンチテーゼとして「非婚」を主張する論調とは距離をとり、同書でも「未婚」という言葉を使った。「『一生涯結婚しない』とまで、婚姻制度と闘うのはなぜ?というのが最近の『女子』の感覚」と話す。
 背景には自身の経験もある。団塊ジュニア世代で、就職氷河期を経験。早大大学院で博士号取得という高学歴だが、兵庫教育大講師という安定した職に就いたのは今春。約2年前は過労で倒れ、入院の手続きなどで「法律婚」をしていない弱さを実感した。
 一方で、京都のシェアハウスで6人の共同生活をした経験もある。シェアハウスでは家賃の安い人が料理や掃除をし、共に食卓も囲んだ。従来型の家族と新しい共同体の「いいとこ取り」が、低成長時代に「よりしぶとく生き残るためには必要」と話す。
 同書では戦後日本は「社会が負担するべき福祉のコストを家族に肩代わりさせてきた」として社会制度の見直しの必要性にも言及。「未婚」の人が生きやすい社会にすれば、シングルマザーへの支援にもつながるなど、より多くの人が産みやすくなり、少子化対策にも有効とみる。
 「当事者の生活感覚に寄り添ったリアリティーのある研究をしていきたい」。カギは「共感」だ。同書刊行後も若い世代からの熱い反応に手応えを感じている。(赤田康和)

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