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■漫画界の鬼才が放つ短編集
著者は、70年代後半からSF色を盛り込んだロリータ美少女満載の不条理ギャグ漫画を描き始め、80年代のオタク文化のみならず、現在の「萌え」文化に大きな影響を与えた。独自のSF世界に幼い美少女という「劇薬」をまぶし、オタク少年たちの妄想を駆り立て、その結果、ロリコンブームを台頭させた。 そんな鬼才による短編集が刊行された。本書はよく知られる『失踪日記』の外伝となる「街を歩く」、80年代中盤に描かれた「笑わない魚」「夜の魚」等の私小説風短編と、少女との妄想世界を描く短編を中心に収録する。いわゆる「SF・美少女」的世界に属する作品群において、著者はマニアックともいえる不条理SFの世界を、「美少女」というツールを通じて見せることで、読み手の想像をかきたててきた。また「笑わない魚」「夜の魚」等の私小説風短編作品は、作者自身の作家生活周辺の閉塞状況を、暗めのタッチと、吾妻風妄想キャラクターたちの現出によって、シュールに描写している。 その他の作品、「ハイパーダイアリー」「リアリズム日記」では「吾妻ひでお的」発想の断片を随所に登場させ、作品ができるまでのなりたち、作品世界に通じる思考法を垣間見ることができる。改めて、時代の先駆者としての鬼才ぶりがうかがえる作品集である。 |
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