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■時空を超えて人類をつなぐノンフィクション
現代欧米人の95%は、たった7人の母たちの子孫である——かつてオックスフォード大学の遺伝子研究チームによって明らかにされた衝撃的な事実が世界をかけめぐった。きっかけは1991年、約5000年前の人「アイスマン」の化石からDNAを採取したことに始まる。チームは、それとまったく同じDNA配列を、現代ヨーロッパ人のサンプルに見いだした。そして、母系でのみ受け継がれるミトコンドリアDNAを解読し、最初の7人までたどることに成功したのだ。この優秀な研究チームを率いたのが、同大学で人類遺伝学教授を務める著者である。 本書では、信じられない結論に達するまでの、知的興奮にあふれる最先端遺伝学の現場が語られる。著者らは7人の母たちに血を通わせるため、アースラ、ジニア……と名前をつけた。彼女たちはいまから4万5000年前から1万年前の間、原初のヨーロッパで狩りをしながら移動し、あるいは農耕定住生活へと移行する。本書ではその生活ぶりもまた、生き生きと再現されている。遺伝子に導かれ、はるかなる歴史を旅するとき、誰もが私たちの多くは共通のDNAでつながった近い存在なのだと実感できる。そして国境や民族などで人を区別することの愚に、改めて気づかされるに違いない。壮大なノンフィクション、待望の文庫化である。 |
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