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これでもけっこう幸せだ。 [著]山岡瑞歩

[掲載]2007年04月27日夕刊

■思わず泣けてくる感動の手記

 著者の一人息子は1歳半健診で自閉症と診断された。小学6年になった今も発語はない。幼児期からこだわりが強く、多動、てんかん発作もある。

 それでもいつも笑顔いっぱいで走りまわり、生きることの喜びを全身であらわしているという。そして少しずつ、成長もしている。

 数年前に著者は家を出て、離婚時に親権を失った。現在は、養育権をもって息子と暮らすが、小学校卒業と同時に養育権も失い、息子は施設入所が定められている。

 一緒にいられる日々はあとわずか……。期限つきの貴重な時間、一瞬一瞬をけんめいに生きる母子の記録が、読む者の胸をゆさぶる。

 問題行動にふりまわされ、疲れはてる著者。それでも、自分の思いを伝える手段をもたない息子が、最上級の笑顔で走ったり遊んだりしているのを見て、「彼が一番がんばっている。彼が一番我慢強い……彼はわたしのほこりだ」と言いきる。

 つらいこと落ち込むことも多いが、そのたび息子の姿に励まされ、発想を転換し、前向きに生きる著者。その明るさ、つねにオープンマインドな人柄に引きつけられる。

 「障害をもっていることが不幸なのではない。理解されないことが苦しいのだ」簡潔で力強い言葉から、生きることの意味が熱く伝わってくる。

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