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〈著者に聞きました〉グラスリッツェン―スイス・メグロー派 武田佳子さん

[掲載]2007年04月27日夕刊

■メグロー派グラスリッツェンの世界

 スイスのガラス工芸として知られるグラスリッツェンに一目惚(ぼ)れしたのは1981年のことでした。独特のダイヤモンド針を駆使し、実に柔らかで豊かに表現する技術に息をのみました。しかも、それはメグローという一人の女性の、単なる伝統工芸にとどまらない革新的な技術による芸術作品だったのです。工芸の伝統を継ぎながら、それでいてガラス上にそっと描かれた絵画のような繊細な魅力に満ちていました。

書誌画像グラスリッツェン

 本書には私だけでなく、メグロー派の技術を継いだ門下生たちの素晴らしい作品もおさめられています。ぜひ鑑賞だけにとどまらず、一緒にこのメグローテクニックを次代に引き継ぐ仲間になっていただければ、これほどうれしいことはありません。

 私たち日本人はともすると安易な模倣に走りがちですが、一つひとつの作品にはスイスならではの風土や言葉、文化の伝統が息づいています。そうしたメグロー派グラスリッツェンの魅力は、本書の素晴らしい写真からも実感してもらえると思います。

 メグロー夫人は多くの下絵を残しましたが、ガラスという素材は壊れやすいだけに、正統な技術によらなければ、彼女の遺産としてのグラスリッツェンは再び幻のものとなるでしょう。夫人の技術を継承して次世代に伝えていくのは今に生きる私の使命とも考えています。技術を習得するための体系を通じて、多くの人に学んでいただくと共に、社会的な遺産ともいえるこの工芸芸術をさらに広めることによって、これからもスイスと日本の文化の架け橋になりたいと思います。(談)

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