ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>BOOK TIMES> 記事

BOOK TIMESロゴ

間(ま)の取れる人 間抜けな人―人づき合いが楽になる [著]森田雄三

[掲載]2007年05月25日夕刊

■「間(ま)」をキーワードに人づき合いを説く

 著者はイッセー尾形の一人芝居の演出家であり、90年代からは素人を集めた演劇ワークショップを全国各地でおこなってきた。本書はそんな著者が、コミュニケーションのあり方を縦横に語った内容だが、実は海外でも好評の一人芝居の魅力を分析した演劇論であり、夏目漱石や太宰治を俎上(そじょう)に載せた文学論であり、さらには現代日本を鋭く見つめる評論ともなっている。

 考えてみれば今ほどコミュニケーションという言葉が一人歩きしている時代も珍しい。企業は新入社員に求める能力として必ずコミュニケーション能力を掲げるし、いわゆるコミュニケーションが苦手な、あるいは会話による自己表現が苦手な若者たちが携帯メールの異常なブームを支えているといってもよい。そうした現象を著者は一演劇人の立場から見事に解き明かす。

 著者によれば心の交流とは会話よりも、「間」によってもたらされる。人が知り合うためには「間」が大切であり、そして一見逆説的なようだが「嘘(うそ)」が必要なのである。また自分の弱みを見せたくない人はコミュニケーションよりも自慢話をしたがる、相手の気持ちが分からなくなったら、相手とそっくりな座り方をするとよい、無責任と優しさは隣り合わせ、といった著者ならではの視点もユニークだ。

ここから広告です

広告終わり

このページのトップに戻る