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武士道―いかに生き、いかに死ぬか [著]津本陽

[掲載]2007年05月25日夕刊

■現代に甦(よみがえ)る高潔な日本人の生きざま

 武士道とは、戦国の世に武士たちの間ででき上がった道徳律にほかならない。死が常に肌身ほどの近くにあった時代、何よりも重んじられた「武勇」に加えて、「羞恥(しゅうち)」が重要とされた。要は武士たるもの、恥を知らねばならない。臆病(おくびょう)で卑劣な行動をとってまで生き永らえてはならない。最期まで潔く振る舞うことこそが武士道を貫く生き方であった。

 著者は20年を超える執筆活動で、戦国期から幕末維新にかけて生きたさまざまな武士の生涯を調べ、作品を生み出した。

 ここに収められているのは、戦国武将に始まり、勝海舟、吉田松陰ら幕末期の志士、さらには近代日本経済の礎を築いた渋沢栄一にいたるまで、日本人の中に連綿と受け継がれてきた孤高の精神の系譜である。著者が西欧騎士の理想「ノブレス・オブリージェ(高位の人の義務)」にもたとえた武士道は、日本が近代国家として成立していく中で廃れていった。しかし、決して消滅したわけではない。今も我々の体の内奥に潜んでいる――数々の歴史上の人物の生きざまをたどってきた著者の結論である。

 政治・経済を含め、多くの日本人が針路を失いつつある今、本書に描かれた偉大な精神の在りようを、改めて胸に刻みたい。

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