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切らずに治すがん治療 [著]中川恵一

[掲載]2007年07月27日夕刊

■進化した放射線治療の本当の実力

 がんに関して、日本はずばぬけた手術大国なのだそうだ。ところが、世界の常識は違うと著者は断言する。イギリスやアメリカでは、がん患者の6割が放射線治療を受けているという。

 サイエンスとテクノロジーの進歩は、がん細胞をピンポイントで狙うことを可能にし、放射線治療は「がんだけを叩(たた)く」治療法に限りなく近づいた。その結果、副作用や後遺症に苦しまずに完治できる道が開かれたのだ。

 完治が難しいケースでも、手術や抗がん剤と併用することで、延命できる可能性が高いという。

 ところが日本の放射線治療を担う専門医はアメリカの10分の1に過ぎず、治療施設も3割程度にとどまる。著者はわが国の現状を変えるために、何よりも患者が医療の「賢い消費者」にならねばならないと力説する。本書はそんな著者の熱い思いにあふれている。放射線治療の最前線、その解説、治療の実際、がんの種類と、放射線治療が効果を上げた事例など、本書を読むとがん治療に対する考え方が大きく変わるにちがいない。

 初期子宮頸(けい)がんが欧米では放射線8割、日本では手術8割と聞いたり、前立腺がんの放射線治療は入院3日と知ったりすると、自衛のためにも放射線治療について知らねばと思う。手術をすすめられても即決しないというアドバイスも心強い。

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