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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>BOOK TIMES> 記事 ものみな映画で終わる―花田清輝映画論集 [著]花田清輝[掲載]2007年10月26日夕刊 ■伝説の評論家によるユニークな映画論集 優れた書評により、取り上げられた本が読みたくなるように、優れた映画評もまたその映画を「見たい」と思わせる力を持つ。良質な評論ほど、たとえ作品をけなしたとしても「ぜひ見たい」という気になってしまう。これほどユニークな評論を書かせた作品とはどんなものなのか、そういう興味をかき立てるからである。 本書の著者、花田清輝の書く映画評の多くは、間違いなく読み手を映画館に、あるいはレンタルDVD店に誘う魅力を持っている。本書は30年以上前に亡くなった、この小説家にして劇作家、さらには文芸評論家であった著者の映画評を集めたものである。 古くは昭和25年に書いたルネ・クレマン論から昭和48年の『キャバレー』に至るまで、独自の視点と軽妙な語り口、そして映画への愛がぎっしり詰まっている。著者の真骨頂は、フランスのヌーベルバーグ作品も黒澤明作品も、はたまた『あんみつ姫の武者修業』というプログラムピクチャーさえも、同じ地平で論じ、ときに褒め、ときに叩(たた)くところにある。『あんみつ姫』に対する真摯(しんし)な怒りなど、どんな作品なのか興味津々にさせられてしまった。そうした意味で、著者の映画論は、映画だけでなく良質な時代論であり世相論になっているとも言えるのだ。
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