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不謹慎な経済学 [著]田中秀臣

[掲載]2008年02月29日夕刊

■人の営みを読み解く経済学の視点

 著者は各メディアにおける積極的な発言で知られる気鋭の経済学者である。本書でもそのユニークな視点に基づく鋭い分析能力は遺憾なく発揮されている。昨今、市場原理主義、格差社会の到来というような言葉が、一部の経済学者に対して批判的に使われることが多いが、著者の立場は「お金がすべて的経済学とは違った経済学」が存在すると明快である。

 著者によれば現実に起きている問題に積極的に経済学者がかかわっている例は枚挙にいとまがない。たとえば、経済学とテロリズムの関係を論じたアメリカのクリューガー、あるいはオーラルセックスの経済学を寄稿したアメリカのハーフォードなど、一見、無関係と思える事柄も十分、経済学のテーマとなる。つまりは本来、「真っ当な経済学の視点によって世界中の事象を読み解く」ことができるのである。確かに本書が引用する古今東西の経済学者やエコノミストの意見は、いずれも人間の行動や社会現象を見事に分析する。

 「官僚の天下り、本当は正しい」「最低賃金を引き上げると、失業も雇用も悪化する」といった見出しは衝撃的だが、学問的な裏づけに基づいた解説が誠に分かりやすい。経済学に対し難しい学問といったイメージを持つ人、お茶の間とは無縁の話と思っている人にはぜひ一読を勧めたい。

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